- 2016年11月16日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:オーストラリア
- トピック:難民と移民
オーストラリア政府は11月13日、ナウル島とマヌス島に収容する難民の一部を米国に定住させる方向で同国と協議していることを明らかにした。手続きは難民高等弁務官事務所が間に入って行う。
オーストラリアはこれまで、数千人の難民を両島に移送し、3年もの間、過酷な暮らしを強いてきた。ナウル島で行ってきた国外難民認定の仕組みは、拷問ともいえるもので、難民保護を求められるようになると、今度は責任を他国に転嫁しようとしている。
世界でも特に裕福な国であるオーストラリアは、庇護を求める人びとの世界的な増加の中で率先して範を示すべきであるにもかかわらず、そうした人びとに安住の場所を提供する役割を放棄してきた。直ちにその姿勢を改める必要がある。
米国との協議に関する発表は、オーストラリア政府が難民の国外収容に対する批判をかわすこともできなくなったことの現れであり、マヌス島とナウル島の収容施設を直ちに閉鎖する事態に追い込まれていることを示している。
アムネスティは、この協議の内容が実現するのがいつで、どれだけの難民が米国で暮らせるようになるのかも不明瞭である点を懸念している。多くの難民の処遇が宙に浮いたままで放置されるのではないかという不安をぬぐいきれない。
また、母国への帰国や別の国での定住を拒む庇護希望者に、20年間のビザをナウルが発給することも協議されているが、これまで数百人が同国の収容施設で虐待や差別に遭い、十分な医療が受けられなかったことを考えると、この件も大いに気がかりだ。
難民らは、オーストラリア政府の管理下で被った虐待などによる深刻なトラウマに苦しんでいる。同国の失策である国外難民認定手続き制度に対する持続的な解決策は、すべての人たちが、適切な医療や虐待によるトラウマ治療を受けられ、安心して生活できる、定住先を用意することだ。さらに苦境に置くことではない。
さらに政府は、両島にいる難民のオーストラリアへの入国を生涯禁止する法案を提出した。第三国定住に必要な措置だと主張するが、アムネスティはこれに異議を唱える。入国禁止は理不尽で無用な要求であり、難民として庇護を求める人びとに対する差別であり、国際法に明らかに違反している。
オーストラリアには、国外収容のようなその場しのぎの対応を速やかに廃止するように強く要請する。マヌスとナウルにいる2000人もの難民に対する公正で迅速な救済策は、自国に移して難民認定審査を行い、社会に迎え入れることだ。
とるべき次の段階は、庇護を求める人びとの人権を守り、無用な犠牲者を出さないように取り組むことだ。この2つの目標は、庇護希望者に対する政策の根幹である。
アムネスティ国際ニュース
2016年11月13日
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