- 2016年11月10日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ベネズエラ
- トピック:
不当に投獄されている反政府指導者が病状悪化で手術を受ける予定であったが、ベネズエラ当局は、それを阻止した。政権に異議を挟む者の口を封じるためには手段を選ばない、という政府の姿勢を示す蛮行だ。
国会議員のロスミット・マンティーリャさんは違法行為をしていないにもかかわらず2年以上も勾留されている。マンティーリャさんには、慢性胆のう炎、膀胱結石、胃の疾患の治療のため、裁判所の許可を得て、10月末に手術を受けることになっていた。
しかし、当局が当日マンティーリャさんを送り出した先は、病院ではなく、刑務所内の懲罰房だった。当局は、ロスミットさんのように、同国の悪化する人権状況に対する批判の声を抑え込むために、重病人を放置するなどという対応をいとわないようだ。
そもそもマンティーリャさんの投獄自体が筋違いだ。その上に、すぐにでも必要な手術すら認めないというひどい扱いをしている。今、世界の目がベネズエラに注がれている中でこのような対応に出るとは、信じがたい。当局の不作為でマンティーリャさんにもしものことがあれば、それは当局の責任だ。
被収容者への不十分な医療措置は、市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)などにうたわれている、拷問やその他の残虐、あるいは非人道的な、品位を傷つける取り扱いや刑罰を絶対的な禁止に対する、違反行為となる可能性がある。ベネズエラは自由権規約の締約国である。
マンティーリャさんは、野党、民衆の意志党の議員であると同時に、活動家として、LGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)の人びとの平等な権利を求めてきた。
2014年2月から7月にかけて行われた反政府デモを支援するために資金提供を受けていたとして、同年5月に逮捕された。それ以来、カラカスにある国家情報局に恣意的に未決拘禁されている。しかし、その容疑は、個人を特定できない証言のみを根拠とし、アムネスティの調べでも、容疑を裏付ける確固とした証拠はまったくなかった。
アムネスティは、ロスミットさんが、表現の自由と平和的集会の権利を平和的に行使しただけで起訴されたと考えている。
アムネスティ国際ニュース
2016年11月4日
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