- 2016年10月27日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:南アフリカ
- トピック:
同国は、速やかに議会を招集し、国際刑事裁判所(ICC)が定めるローマ規程から離脱するという政府決定を見直さなければならない。
今回の決定には、まったく残念である。この判断は、重大な人権侵害の犠牲者への裏切りであり、国際司法制度を弱体化させる。
南アフリカが、アパルトヘイトという深刻な社会問題を克服し、刑事裁判所を支持してきたことは、世界中に人権尊重社会を作り出す重要な一歩だった。
しかし、同国は、ICCを脱退する手続きを取った。
南アフリカは、同国で昨年6月に開催されたアフリカ連合首脳会議に出席したスーダンのバシール大統領を拘束しなかった。バシール大統領は、ICCに戦争犯罪容疑者として起訴されていた。これを受けて、ICCが同国の非協力的態度に関する手続きを取っていたため、南アフリカは脱退を決めた。
政府は「スーダン大統領の拘束を拒否したことで、不当な扱いを受けた」と主張している。
南アフリカは、人権と正義の擁護者としての役割を捨て去ってはならない。ローマ規程は、アパルトヘイトなど国際法下の犯罪を犯すと必ず裁かれるとする多国間の規約である。
南アフリカは、自国が抱えるさまざまな問題を解決すべく、前向きに同裁判所に関与していかなくてはならない。国の信用を失墜させ、世界の平和と正義への取り組みを阻むだけの行動は慎むべきである。
背景情報
ICC脱退決定は、スーダンの大統領拘束拒否が、国内外の規定違反に当たるか、南アフリカの憲法裁判所が審理をしている最中のことであった。
脱退の通告は、最高裁の判断には影響せず、南アフリカは、ICCを離脱しても国内外の規程に従う義務を負う。
ちょうど1週間前にも、ブルンジの議会がICCからの脱退を決めた法律を採択しており、相次ぐ事態に懸念が募る。
アムネスティ国際ニュース
2016年10月21日
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