- 2016年10月14日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:パキスタン
- トピック:
パキスタン当局は、日刊紙ドーン紙の編集局次長シリル・アルメイダさんに対する渡航禁止命令を直ちに取り消し、メディア側が権力を恐れることなく、自由な報道ができるようにすべきである。
同国で著名な同紙は10月6日、第一面に政府と軍との間で緊張が高まっているという、アルメイダさん署名入り記事を掲載したが、首相官邸はこの記事に強い不快感を表していた。そしてアルメイダさんは、出国禁止措置を受けた。
この措置は、報道記者の口を封じ、業務ができないようにさせる、あまりに厳しい措置だった。
報道は犯罪ではない。パキスタンのメディア関係者は長年、当局に威嚇され、移動制限を受け、強制失踪などの暴力の対象となってきた。今年始め、国境なき記者団は、同国の報道自由度を180カ国中147位にランク付けた。南アジアの国では最下位だった。
記事に対する官邸側の反応は、4日間にわたり3本の声明として出され、どれもドーン紙と同記者を強く非難していた。10月10日の声明は特に激しい言い回しで「断固たる措置をとる」と威圧していた。
当局が、報道内容に異議や反論を出すこと自体は問題ではない。ただし、治安の名のもとにメディア関係者を威圧し、脅迫するものであってはならない。
シャリフ首相は、メディア関係者が置かれている状況を改善するとしたかつての約束を忘れてはならない。約束を実現するために具体的な施策を講じる必要がある。
背景情報
アムネスティは、同国ではメディア関係者が表現の自由や身の安全が何度も脅威にさらされてきた事実を調べ、発表してきた。
ある女性ジャーナリスト(24才)はもう1年以上も行方不明だが、治安部隊による強制失踪の被害に遭ったというのが同国の独立人権委員会の見方だ。
2014年、アムネスティは報道記者が、当局だけでなくさまざまな団体から嫌がらせや暴力、殺害の脅威にさらされていることを明らかにした報告書を出し、国が、メディア関係者の人権侵害を阻止することも、加害者の責任を問うこともしていないと指摘した。
シャリフ首相は2014年、メディア関係者の保護を目的とした委員会に出席後、「彼らへの攻撃を捜査する特別委員会を設置し、その安全を守る措置をとる」と約束した。それから2年余り、関係者が置かれている状況はまったく変わっていない。
アムネスティ国際ニュース
2016年10月11日
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