- 2016年9月14日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イラク
- トピック:地域紛争
クルド自治政府は、自らを「イスラム国」と呼ぶ武装組織の拘束から生還したヤジディ教徒の女性を、およそ2年間、起訴もせず拘禁してきたが、直ちに解放すべきだ。
ニネワ行政地区バビラ村出身の、3児の母、バセマ・ダルウイッシュさん(34才)は2014年10月以来、クルド当局に拘束されている。クルド治安部隊の隊員3人を殺害した「イスラム国」戦闘員と共謀した疑いをかけられたためだ。3人は、ダルウイッシュさんが監禁されている家に到着した時に銃撃された。
監禁下にあるヤジディ教徒女性たちは、強かんなどすさまじい虐待を受けたり、性的奴隷として扱われてきた。ダルウイッシュさんはやがて解放されたが、それが悲劇の終わりではなかった。今度は、クルド自治政府当局に拘束され人権侵害にさらされ、ほぼ2年が経った。過酷な拘束から解放され、心身の傷を癒す専門医による治療やカウンセリングを受けられるようにすべきだ。
親族、活動家、当局者らの話によると、ダルウイッシュさんは2014年8月3日、夫や親族33人らとともに、シンジャルの町を脱出するときに、「イスラム国」戦闘員に拉致された。彼女は当時、妊娠していた。被害者たちは当初、タルアファールに連行され、女性と子どもたちは男性から離された。親族のうち31人の生死はいまだに不明である。ダルウイッシュさんは現在、エルビル女子・少年刑務所に拘束されており、所内で女児ヌールフセインちゃんを出産した。
ヤジディ教徒に対する残虐行為で散々「イスラム国」を非難してきたクルド自治政府が、今度はダルウイッシュさんをテロ容疑で拘束し、その法的権利を認めていない。
アムネスティはこの8月、テロ対策総局の捜査責任者と会った。クルド自治政府の治安部隊ペシュメルガがイラク北部ズマルにあるダルウイッシュさんの監禁場所に到着したとき、家には誰もいないと彼女は嘘をつき、部隊が家に入ろうとしたところを中に潜んでいた「イスラム国」の戦闘員らに襲われ、3人が殺害されたというのだ。
彼の主張は、彼女は過激思想に染まった結果、部隊をだまし、殺害されるように仕組んだ、ということだった。彼女の拘束はテロ対策法にもとづいており、その扱いは法廷に委ねられているが、審理の予定はいまだ立っていないということだった。
アムネスティが8月にクルド地区を訪れた際、獄中のダルウイッシュさんに面会を要請したが、テロ対策総局は認めなかった。弁護団もまた、面会要請を却下された。エイミー・アザディ・ジヤン人道NGOの創始者、エイミー・ビーンさんがアムネスティに語ったところによると、彼女の釈放に取り組んでいることで、アサイシュ(クルド自治政府の治安当局)から脅迫を受けてきたという。
アムネスティは、クルド自治政府のバルザニ議長に8月26日付けで書簡を送るなど、当局に対して複数回、この問題への対応を求めたが、何の反応もなかった。
またクルド自治政府に対し、ダルウイッシュさんが経験した苦難、心身の脆さ、子どもの世話の必要性などに配慮して、判決を下されるまでの釈放も求めている。
アムネスティ国際ニュース
2016年9月12日
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