- 2016年9月 1日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:フィリピン
- トピック:
フィリピンの国家警察のデラ・ロサ長官は8月22日、上院での超法規的処刑疑惑の審理で、7月1日にドゥテルテ大統領が就任して以後、薬物関連の捜査で警察に712人が殺害され、1,067人が自警団員に殺害されたことを明らかにした。
署長は、警察による超法規的処刑や殺人をすべて捜査すると約束した。アムネスティ・インターナショナルは、警察に対する申し立てを扱う独立委員会を設置するよう、当局に要請している。
委員会は十分な人と資金のもとで、警察への苦情やその人権侵害の申し立てを受理し、申立人、被害者、証人の保護権限を与えられなければならない。同時に、その活動報告の開示を義務付けられるべきである。
また当局は、薬物使用者の生存と健康を求める権利が尊重され、だれでも医療情報やサービスにアクセスできるように保障しなければならない。
国連薬物犯罪事務所の調べでも明らかなように、同国は長年、複数の国にまたがる薬物使用や中毒を、力による強引な方法で取り締まる政策を取ってきたが、薬物使用の減少には結びついていない。
それどころか、麻薬対策作戦などは逆効果をもたらし、薬物使用による弊害や関連リスクが高まり、暴力・人権侵害・虐待が深刻化している。
薬物取引犯罪の容疑者は、起訴で裁判にかけるべきだ。また、公正な裁判の保障など、個人の自由と安全の権利の保護は、薬物関連の容疑者にも等しく適用されるべきだ。
警察内部の命令・共謀・暗黙の了解にもとづく非合法で故意の殺害は、超法規的処刑にあたる。これは、国際法では犯罪である。
背景情報
ドゥテルテ大統領が6月30日に就任した以後の殺害のうち数件は、明らかに超法規的処刑に該当すると言われている。
大統領は、選挙期間中や就任後に、薬物犯罪を撲滅する公約を繰り返し、法執行機関に「倍増の努力を、必要なら3倍にも増やせ」と求めてきた。
アムネスティ国際ニュース
2016年8月23日
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