- 2016年8月17日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:シリア
- トピック:地域紛争
シリアの首都ダマスカスの町マダヤの政府軍検問所で狙撃手に撃たれ重傷を負ったギーナ・アハマド・ワディさん(10才)が、国際的な圧力を受けた政府が包囲網を解いて移動を認めたため、手術が可能な病院に転院することができた。
シリア赤新月社(国際赤十字・赤新月社連盟の組織)によると、8月14日深夜、ギーナさんは母親に付き添われて、ダマスカスへ移動した。英国在住のギーナさんの叔母が転院許可を訴え、その訴えをアムネスティなどが支援した成果だった。
この進展は、藁をもすがる思いだったギーナさんにとって、大きな助け舟となった。それまで重傷のまま何日も放置されていたというのは、何とも衝撃的である。
得た情報では、マダヤには、長ければ2カ月も放置されている市民の重病人や重傷者が数多くいるという。
紛争の全当事者は、包囲地域内の市民を保護し、重要な医薬品や医療機器などの人道的支援を優先的に認めなければならない。今回のように必要なら移動を認めたり、移動を働きかけたりしなければならない。
ギーナさんは8月2日、母親の薬を買いに行く途中、検問所で狙撃手に脚を撃たれた。銃弾は、左足の大腿部に命中し、複雑骨折を起こし、神経が切断された。一緒にいた、妹(8才)も負傷した。
マダヤは、ヒズボラの戦闘員と連携する政府軍に包囲されており、ギーナさんの家族は当局に対し、ダマスカスかレバノンの病院への移動を認めるよう嘆願した。しかし、要請はこの2週間、認められなかった。
野戦病院の医師の話では、ギーナさんは、緊急手術を受ける必要があったが、厳しい包囲下にあるマダヤでは対応できず、鎮静剤で痛みを緩和するぐらいの処置しかできなかった。一回の投与で、効果はせいぜい10分から15分間だけである。
叔母はアムネスティに「ギーナだけでない。数千人の子どもたちが、戦争に巻き込まれ、悲惨な状況に置かれている。ギーナは比較的簡単に救い出せた。私たちはできる限りのことをして一人でも多くの子どもを助け出さないといけない」と語っていた。
アムネスティ国際ニュース
2016年8月14日
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