- 2016年7月21日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ベトナム
- トピック:
ベトナムの刑務所や拘禁施設では、良心の囚人が、秘密裏に虐待や拷問などの暴力にさらされるという、悲惨な状況に置かれている。アムネスティ・インターナショナルはその実態を詳細に調べ、7月12日にその報告書を発表した。
報告書では、アジアでも極めて閉ざされた国ベトナムで、良心の囚人が長期に渡る隔離拘禁や独居拘禁、強制失踪、治療拒否、罰としての刑務所移送など、苛酷な扱いを受けてきたことを詳述している。
アムネスティはこの1年間、元良心の囚人18人(投獄期間は1カ月から10年まで)に、延べ150時間以上にわたる聞き取りをした。
そのうち5人は長期間、衛生的な水もトイレもない、暗くて悪臭が漂い空気の悪い独居房に拘禁されていた。国内でも国際的にも禁止されているにもかかわらず、頻繁に拷問を受けた人たちもいた。
強制失踪、虐待、拷問
多くは、当局に連行されるやいなや暴力を受け始めたという。4人は、連行後、強制失踪させられたと語った。
山岳民族のダーさんは、宗教の自由と人権を求めるデモを組織したとして逮捕された。弁護士も家族も不在の法廷で裁判を受け、有罪判決を言い渡された。
ダーさんは5年間の拘禁中、最初の10カ月は、光も音もない狭い独房に閉じ込められた。さらに、最初の2カ月は、毎日尋問と暴行を受けたという。
また、多くの人が、裁判の前、自白を引き出そうとした係官に特に手ひどい拷問を受けていた。
隔離監禁と独房監禁
聞き取りをした人たち全員が、1カ月から2年間の間、外部といっさい接触がない隔離された房に入れられた。家族や弁護士、医療専門家などとの接触は、刑務所内の虐待を防ぎ公正な裁判を受ける権利のために非常に重要だ。
タ・フォン・タンさんは、ブログを通じて社会正義や人権侵害などの問題を発信したことで投獄された。4年間の投獄中、面会を許されたのは妹だけだった。母親は、タンさんとの面会を2回断られたため、2012年7月30日、政府庁舎前で抗議の焼身自殺をした。
虐待と拒否
独房以外に収監された場合も、他の囚人から虐待を受けかねないという問題がある。
聞き取りをした数人は、当局と共謀していると見られる囚人と狭い監房に入れられた経験を持っていた。いつ暴力を受けるかわからない恐怖に常にさらされていたという。
刑務所内の懲罰には、数カ月から数年にわたり、必要な治療を受けられないというのもあった。また、得体の知れぬ薬物を無理やり与えられたという人たちもいた。
当局は 刑事訴訟法が見直されるこの機会に、密室での暴力を防ぐ対策を立てなければならない。同時に、国際的な義務に従って、虐待や拷問の加害者の罪を問い、暴力がはびこる慣行に終止符を打つべきだ。
※良心の囚人
暴力も用いていないのに、信念や信仰、人種、発言内容などを理由として囚われている人のことを、アムネスティでは独自に「良心の囚人」としています。
アムネスティ国際ニュース
2016年7月12日
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