- 2016年5月 2日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:エジプト
- トピック:
治安部隊は4月25日、カイロなどで予定されていた抗議デモを阻止し、参加しようとした数百名を恣意的に逮捕した。
人権派弁護士などで構成される「エジプト抗議活動家援護戦線(FDEP)」によれば、全土で逮捕された人数は、外国人、活動家、ジャーナリストを含め、把握している限りで238人に上るという。FDEPは、平和的な抗議行動をする人びとを人権侵害から守るために結成された。別の人権監視グループ「勇気ある人びとの自由運動」は、168人の身元を確認している。
当局は、強引で非情なほどの手際の良さで抗議行動を始まりもしないうちに握りつぶしてしまった模様だ。大量逮捕、道路封鎖、大規模な治安部隊の投入により、平和的な抗議行動を不可能にしてしまった。
エジプトはサウジアラビアに紅海の2つの島を割譲した。これに対し、この施策は憲法違反で手続きも不透明だと市民団体が批判したことがきっかけで、抗議行動が起きた。
4月21日からデモの前日の24日までにも、90人以上が逮捕された。
逮捕された人の多くは、テロ防止法、抗議法などの、公的集会を取り締まる法や、国家の安全に関する刑法違反など複数の罪状で、何度も拘束された。デモ当日の25日早朝には、カイロ中心部に厳重な警備が敷かれているとの情報が広まった。大統領はこのデモを国家の安定を脅かすものだと述べ、内務大臣は一線を超えれば厳罰で臨むと脅した。
当局は安定と治安を取り戻すためだとしているが、被害妄想である。平和的な抗議行動と本当の治安の脅威の区別ができなくなっているようである。
エジプトのデモ法は当局の許可がないデモを禁じており、治安部隊に対し無許可デモを取り締まる強力な権限を与えている。また、当局は大統領支持者のデモは容認し、反対派のデモは常に妨害しているのが現状だ。
アムネスティは、厳しいテロ防止法への懸念を繰り返し表明してきた。この法が規定する「テロ行為」は、定義があいまいで幅広い解釈が可能で、当局はどんなデモも抑圧することが可能になる。
2つの無人島の譲渡が発表されたのをきっかけに、4月15日、過去2年間で最大規模の抗議デモが発生した。それに続くデモが4月25日に予定されていた。
アムネスティ国際ニュース
2016年4月26日
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