- 2016年4月27日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:EU
- トピック:難民と移民
ドイツのメルケル首相が欧州理事会議長と欧州委員会副委員長とともに、4月30日にトルコを訪問し、同国首脳と難民問題を協議する。トルコにいる難民が受けている一連の人権侵害の問題を取り上げなければならない。
アムネスティ・インターナショナルなどの人権団体は、3月にEUと難民協定を結んで以降、トルコがシリア難民の入国拒否、治安警察による発砲、出身国への強制送還などを行ってきたことを確認してきた。
この協定には、重大な問題があることは明らかである。メルケル首相らが、今回の協議で目指すべきことは、トルコが難民の送還をやめ、難民保護法を有効に実践するようになることである。
シリア難民を違法に送還するトルコ
アムネスティが得た証言によると、トルコは、シリア難民数百人を集めて、内戦が続くシリアに送り返してきた。命の危険が脅かされかねない人たちの送還は、国際法でもトルコ国内法でも、禁止されている。
シリア人以外も、同じような目に遭っている。トルコは協定を締結してわずか数時間後には、タリバンに襲われる恐れのあるアフガニスタン難民30人を強制送還した。
最近では、重傷のシリア難民を除いては、国境を完全に閉鎖した。また、不法に入国しようとしたシリア難民が、銃撃されたり、殺害されたりするケースも増加している。
難民の処遇監視を拒む当局
トルコ当局は、国連難民高等弁務官事務所やNGOなどの機関が、EU・トルコ難民協定にもとづきギリシャからトルコに送還された難民らが収容されている地域に入ることを、認めていない。
独立した機関が接触することができない難民収容所では、人権侵害のリスクが高くなる。
アムネスティは以前、トルコで難民が隔離拘禁され、法的支援を受けたり、外部とのコミュニケーションが取れない事例を調査し報告した。ギリシャから送還された難民やシリアから入った難民の人権保護には、第三者による監視が不可欠である。
EU首脳は現実に目を向けるべきだ。トルコは、難民には安心できない国である。EUは、命からがら逃れてきた難民を受け入れる義務から逃げるべきではない。トルコが安全を保証できる措置を取らない限り、同国への難民送還は、停止すべきだ。EU諸国がやるべきことは、欧州を目指すトルコにいる難民に、安全で合法的なルートを提供する、大がかりな再定住計画を策定することである。
アムネスティ国際ニュース
2016年4月22日
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