- 2016年4月26日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ナイジェリア
- トピック:
軍の兵士らが、ザリアで子ども含め数百人を虐殺し、それを隠蔽していたことがアムネスティ・インターナショナルの調査でわかった。軍による人命軽視と責任放棄もはなはだしい。アムネスティは、現地ザリアに入り、軍による住人の焼殺、家屋などの放火、遺体の遺棄など衝撃的な目撃証言を得た。そして証言と衛星画像の分析結果を報告書にまとめ、公開した。
2日間の残虐行為の実態が、アムネスティの調査でようやく明らかになってきた。遺体が道路にごみのように捨てられ、死体置き場の外に死体が山積みになっていた。何人かは生きたまま焼かれた。
また、証言と衛星画像により、大勢の遺体を埋めたと思われる場所が特定できた。軍は今こそ、数百人の遺体を秘かに埋葬したこととその場所を正直に公表すべきだ。
同国中北部のカドゥナ州ザリアで、ナイジェリア・イスラム運動(IMN)のメンバーと軍兵士とがぶつかった。その直後、2015年12月12日から14日にかけて、350人以上が軍により殺害された。
IMNの支持者らは、IMN本部近くの道路を、軍の車列が通過できるように空けることを拒否した。支持者の中には、棍棒、ナイフ、鉈で武装した者もいた。軍の言い分では、IMN支持者が軍司令官を暗殺するために車列を襲撃した、ということだが、IMN側はこれを否定している。
その後、軍はIMNの支持者が集まっている別の場所、特にIMN指導者の自宅周辺を包囲した。何人かが、無差別な発砲で射殺され、意図的に狙われた人も複数名いた。
いずれの証言や情報からも、過剰で、不必要と思われる武力行使で大量の犠牲者が出たことは明らかだった。
子どもたちも犠牲に
女生徒のザイナブさん(16才)は、友達が頭を撃たれた。2人とも制服姿だったそうだ。脚を撃たれて負傷した少年(10才)は、「指導者の家を出ようとしたときに、兄が頭部を撃たれた」という。
銃撃と焼死
12月13日、学生のアリユさん(22才)は、指導者宅の外で胸を撃たれ、中へ運ばれ治療を受けた。「大勢の負傷者がいくつかの部屋に収容されていた。遺体が部屋の中や中庭にあった。正午から1時頃、兵士が『外に出ろ』と言ってきた。しかしみんな、あまりの恐怖で出ることはできなかった。出れば殺されるとわかっていたから。兵士たちは、手榴弾を投げ込んできだ。中庭の塀の上から中に向かって銃撃するのも見えた」
その日の午後、兵士たちが一棟に火を放ったとき、銃撃で重傷を負った1人は、かろうじて逃げおおせた。「逃げることのできない人たちは、焼き殺された。負傷者の何人ぐらいが焼死したのかわからない。何十人にもなる」と語った。
隠蔽
襲撃後、軍は、IMNの本部やその周辺地域を封鎖した。遺体は運び去られ、現場は完全に破壊され、瓦礫は取り除かれ、血痕は洗い流され、銃弾や空の薬きょうは道路から取り除かれた。
数人が、ザリアのアフマド・ベロ大学教育病院の遺体安置所の外で、山積みになった遺体を目撃していた。ベテランの医療関係者の情報によると、軍は遺体安置所の周辺を2日間にわたり封鎖した。その期間、軍用車が往復するのを見たということだった。
アムネスティは、マンド付近で犠牲者が遺棄されたと思われる埋葬場所を特定し、訪れた。昨年11月2日と12月24に撮られた衛星画像を比較すると、およそ1,000平方メートルの土地が掘り起こされた痕跡が見てとれる。他の画像では、建物や寺院が跡形もなくなっていることがわかる。
背景情報
4月25日、軍は、カドゥナ州政府が設置した司法調査委員会で証言することになっている。4月11日には、州政府の担当者が同委員会で、IMNのメンバー347人の遺体を病院の安置所とザリアの軍倉庫から回収し、2015年12月14日と15日の夜、郊外で密かに埋めた、と証言した。IMNによると、さらに350人が行方不明だが軍の説明はないという。
アムネスティ国際ニュース
2016年4月22日
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