- 2016年4月25日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ウズベキスタン
- トピック:難民と移民
数百人の庇護希望者、難民、移住労働者が、ロシアからウズベキスタンに送り返されたり、拉致された上で強制送還されている。帰国後は、拷問を受けている。
アムネスティは4月21日に発表した調査報告で、ロシアがウズベキスタンと結託して、明らかに拷問の恐れがあることを承知で数百人を送還していることを明らかにした。
「治安上」の拷問と抑圧
ウズベキスタンではテロとの闘いや反国家活動の取り締まりを理由に、当局が当たり前のように政府批判者に対する不当な起訴を正当化している。
2013年、ロシア当局は映画製作者で実業家、マーソビア・カミドカリフさんの引き渡しをウズベキスタンから要求されたが、これを拒否した。マーソビア・カミドカリフさんは、私的な集まりでイスラム教徒女性のヘッドスカーフを支持したことがきっかけで、非合法なイスラム教徒グループを組織した容疑に問われた。
しかし、2014年6月、マーソビアさんは拉致されモスクワで隔離監禁され、ロシア連邦保安局員からウズベキスタンの治安当局の局員へ引き渡された。その後、彼は強制送還された。
治安当局の取調べでマーソビアさんは暴行を受け、7本の歯とろっ骨を2本折られ、自白を強要された。その後、強制収容所に送られ、数週間懲罰監房に入れられた。
その自白に基づき、過激思想罪で8年の実刑を言い渡された。
他の被送還者の多くも、不公正な裁判の末、残虐で非人間的で品位をおとしめる環境の刑務所で、長期の刑に服すことになった。
脅迫される家族
嫌がらせや脅迫で、親族を告発させたり、居場所を言うよう迫るのも、日常的に行われている。
1月、アルトゥール・アヴァーキアンさんは4週間拘束され拷問を受けた末、とうとう、実の兄アラミスさんにテロ行為の濡れ衣を着せてしまった。警官はアルトゥールさんの手足を縛り上げ、耳たぶに電極を固定し感電させた。最後には舌が歯茎に貼りついてしまうほどの拷問だった。
家族によると、当局が兄のアラミスさんが営む養殖会社を乗っ取ろうとして、一連の画策を図ったのではないかということだった。5カ月近くにわたる過酷な拘禁でアラミスさんは衰弱し、判決が出る法廷には担架で担ぎ込まれた。そして、でっち上げられたテロ容疑で、7年の実刑を言い渡された。
アラミスさんは、ジザフ地方刑事裁判所での公判で、拷問を受け、イスラム国の支持者だという自白を強要されたと述べた。
拘束された人々の親族は、弁護士や人権団体に支援を求めれば「本人の立場が悪くなるだけだ」と治安当局に脅されているため、助けを求めないことが多い。
ウズベキスタンとロシアの双方は、拉致と拷問を即刻停止し、これらの許しがたい人権侵害に関わった者全員の罪を問わなければならない。
アムネスティ国際ニュース
2016年4月21日
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