- 2016年4月 8日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:チリ
- トピック:
チリでは司法制度に理不尽な二重構造があるため、治安部隊がデモ参加者や市民に暴力をふるったり不当な扱いをしたり、時には殺害に及んでも、ごく軽微な懲罰を受けるにすぎない。アムネスティ・インターナショナルは、4月5日に公表した調査報告書の中で明らかにした。
チリでは、治安部隊による暴力行為や犯罪を軍事裁判所が裁くが、警察官の違法行為を十分捜査せず、起訴もしないことが日常的だ。裁判は、独立性や公平性のかけらもない。
軍事裁判所は、同じ軍が管轄する治安部隊の捜査や起訴を行うべきではない。まるで犯罪者をその身内が裁くようなもので、あってはならない。
このあまりに理不尽な体制により、同国の市民は、長い間公正な裁判を期待することができない。政府と議会はこの問題を深刻にとらえ、軍事裁判所に人権問題を裁かせないように体制を変えるべきである。さもなければ、国が法を守る側にいることを示すことができない。
チリの抗議運動は近年激しさを増し、同様にデモ参加者に対する警察官の横暴もひどくなってきた。アムネスティは調査の過程で、警察官の暴力や無差別な催涙ガスと放水砲の使用を確認してきた。無抵抗のデモ参加者や通行人らが負傷し、時には殺害されていた。
残酷な統計
軍事裁判で、暴行を加えた治安警官を有罪にすることはまずない。まれに捜査が行われることはあるが、捜査内容は表に出ることはなく、下される判決はありえないほど軽く、実刑になることはほとんどない。
国の公開情報によれば、6つの軍事裁判所の一つ(サンチアゴ第二軍事裁判所)では、2005年、2008年、2011年、2014年にあった警察官によるデモ参加者への暴力行為4,551件のうち、起訴されたのは14件(0.3%)しかなかった。
軽い懲罰
2011年8月、マヌエル・グティエレス(16才)さんは、夜、帰宅途中に、デモ隊と警察官の衝突に巻き込まれ、胸に銃弾を受け、死亡した。当局は、警察の関与を即座に否定し、被害者は地元のギャングの抗争に巻き込まれたと発表した。
その後、1人の警察官が逮捕された。担当検察官はこの件を処理する権限はないとして、軍事裁判所に送検した。2014年5月、軍事裁判所は、発砲して負傷させたとする警察官を有罪とし、3年2カ月の実刑を言い渡した。しかしその後、自宅軟禁が許され、上告の結果、刑は461日に軽減され、刑務所に収監されることはなかった。
司法とは名ばかりの軍事裁判所の存在で、チリの警察官は重い罪を逃れることができる。司法の著しい不正義と、ひどくなるばかりの警察の横暴は、最悪の結果を招く。
しかし、議会は、軍や警察官によるデモ隊らへの人権侵害の裁判の権限を民間法廷に移管する法律改正に関し、協議も行っていない。
アムネスティ国際ニュース
2016年4月5日
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