- 2016年3月26日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:アゼルバイジャン
- トピック:
アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は、良心の囚人10人を含む囚人148人の釈放を命ずる布告に署名した。これまで同国の市民は、当局の厳しい弾圧下に置かれてきたが、この釈放で今後の人権状況にわずかながら希望の光が差し込んできた。欧州人権裁判所が人権擁護活動家ラスル・ジャファロフさんの拘禁は国際法違反であると裁定した。その数時間後のことだった。
良心の囚人の釈放は、いつでも歓迎したい。しかし、手放しでは喜べない。まだ少なくとも8人の良心の囚人が収監されている。
アリエフ大統領は、彼らも直ちに無条件で釈放する決定をし、ひどい人権状況の改善に真剣に取り組んでいくことを示さなればならない。
アムネスティは、アゼルバイジャンでここ数年、市民社会と政治活動家に対する抑圧が厳しさを増している状況を調査し報告してきた。政府を批判する人たちは、嫌がらせや脅しを受けたり、恣意的に逮捕されており、多くの場合、長期の刑を受けている。
今回、欧州人権裁判所が、拘禁は欧州人権条約違反だと裁定したジャファロフさんは、NGO人権クラブの代表を務めていた。彼が2012年に企画したキャンペーン「人権のための歌」は、同国の人権侵害に世界の目を向けさせた。2015年、脱税、職権乱用、違法なビジネス活動、横領などの容疑に問われ、実刑6年半を受けた。今回、欧州人権裁判所は、当局が彼を投獄する真の狙いは、人権擁護活動家としての活動を阻止することにあると断じた。
この不当な容疑と裁判は、司法手続きに重大な欠陥があることを象徴していた。政権に盾突けば、必ず容疑をでっちあげられて報復を受けるということであり、欧州人権裁判所の裁定には、異論への弾圧に弁解の余地はないという強いメッセージが込められている
拘禁中の良心の囚人
ジャーナリストのハディージャ・イスマイーロヴァさんは、汚職と人権侵害を告発する取材活動で数々の賞を受けてきた。しかし、常套手段としての横領、違法ビジネス、脱税、職権乱用などの罪を着せられ、投獄された。2012年に、性行為中の自身が写った写真を送りつけられたことがあった。何者かが自宅に忍び込み、カメラを設置して盗撮したもので、「活動をやめなければ恥をかく」という脅迫文が添えられていた。
反政府活動家イルガル・ママドフさんについては、欧州人権裁判所が、政府批判が背景にあると裁定し、欧州評議会閣僚委員会が繰り返し釈放を求めてきた。
そのほか、ブロガーや政治活動家などが、不当に投獄されている。
これらの良心の囚人は、今回釈放される良心の囚人たちと同じ罪状であり、裁判がいかに恣意的かということがわかる。
当局は、残る良心の囚人を直ちに無条件で釈放しなければならない。同時に国際法に則り、人権尊重に向けて具体的な行動を取るべきである。
アムネスティ国際ニュース
2016年3月17日
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