- 2016年3月17日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ロシア連邦
- トピック:地域紛争
北コーカサスにあるロシアのイングーシ共和国で、また人権活動家や記者のグループが襲撃された。当局が彼らを守ろうとしていないことをあらためて示した。
3月9日の夜、北コーカサスのジョイント・モバイル・グループ(チェチェンの人権侵害を調査する専門家グループ:JMA)の人権活動家と、同行していたロシアやスウェーデン、ノルウェーなど複数の国のメディア記者が襲撃され、車が焼き討ちにあった。
ロシアの北コーカサスでは同様の襲撃が何度か発生しているが、今回はとりわけ大胆な手口だった。当局はこの犯行を非難したが、まずは徹底した捜査をやるべきである。そして、今度こそ、言葉ではなく、行動でその本来の使命を果す能力があることを示すべきである。速やかに犯人を、さらに背後で繰る人物を捕まえ、法で裁くことが求めらる。
ロシアの法律には、記者業務を妨害する暴力や破壊行為に対する処罰条項が、別個に設けられている。しかし、今回この条項を適用せず、単にフーリガン行為として捜査している。
事件当時、記者と人権活動家らは、イングーシとチェチェンの国境線付近を移動中に襲撃された。車4台に分乗した、覆面をした20人ほどのグループが、JMAのメンバーや記者らが乗ったミニバスの進路をふさぎ、記者らを車から引きずり出し、暴行を加えた。8名が負傷した。バスの車体や車内の機材なども金属棒で破壊し、火をつけた。
襲撃犯は、活動家や記者らをテロリストとかテロリストの擁護者と呼び、「二度とチェチェンに来るな」と警告した。
その約1時間後、イングーシのJMGの事務所が、武装した覆面の男らに荒らされた。ミニバス襲撃の同一犯による犯行とみられている。
背景情報
JMGは2009年、チェチェンの人権活動家ナタリア・エステミロワさんの殺害を機に設立された。このグループはチェチェンの役人などが犯した人権侵害を調査している。
JMGの設立者、イゴーリ・カリアピンさんによれば、チェチェンの新聞にはJMGとそのメンバーは決まって「国家の敵」とか「テロリスト」「西側治安当局のスパイ」と呼ばれている。
2月には、チェチェンの首都グロズヌイでロシア人記者3人が警察に不当に拘束された。彼らは後に釈放されたものの機器は没収され、撮影したものは破棄された。数日後JMGの職員の1人がチェチェンの警官に拉致されそうになったが、同僚に助けを求め、難を逃れている。
アムネスティ国際ニュース
2016年3月10日
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