- 2016年2月17日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イエメン
- トピック:地域紛争
フーシ派武装グループとその連合軍が支援物資のルートを断ち、イエメン南部の都市ダイスの住民は、窮地に陥っている。
アムネスティが住民と医療スタッフら22人に聞き取りをした。深刻な食糧や日常品の不足で、市民はその日の生活にもこと欠いている。病院は医療品や器具が不足したため、多数の病院は閉鎖に追い込まれ、開業している病院もまともな医療活動ができないという。
タイズ市外に通じるほぼすべての道路は、フーシ派らが検問し、市への出入りを制限している。一部の道路だけが間欠的に通過できるが、住民らは事実上タイズに閉じ込められており、支援物資の供給を断たれ、市民は瀬戸際に立たされている。
住民の話では、フーシ派らは、果物、野菜、肉、衣服、料理用のガスボンベ、病院用の酸素ボンベなどを運んでいる市民を通過させず、時にはその物資を没収することもある。
また複数の医師は、紛争によるけが人の治療に必要な麻酔薬、酸素、手術器具が大量に不足しているという。
4つの病院が何とか開業しているが、医療物資の入手状況によって閉めざるを得ない時もある。
医師らの話では、ここ数か月で、酸素不足のため子ども5人を含む18人が亡くなった。その中には生後数時間の乳児もいた。
紛争のいずれの当事者も、タイズ市民への医療支援物資供給ルートを保障しなくてはならない。意図的な妨害は、緊急に医療処置を必要とする病人やけが人を見捨てることである。
また、生活物資の入手も非常に困難になっている。市内の80パーセントの店は閉まり、闇物資の値段は急騰し、生活必需品は通常の4、5倍の値段に跳ね上がっている。住民の多くは、買いたくても買えないありさまだ。
パンも値段が倍になった。6人の子どもを持つ父親で、貧困層の多いアル・サメール地区に住むアブドゥラ・アリさんは、「失業中で、就職のチャンスもなく、その日の食事もまともに与えることができない」とアムネスティに語った。
1月下旬、国連世界食糧計画、国境なき医師団、サウジアラビア主導の連合国が、タイズ市の閉鎖地区に少量の食料援助を行うことができたが、まったく不十分だったという。
紛争の全当事者は、支配地域の住民に人道援助を保障する義務がある。これに反して、フーシ派は、支援物資を認めず、市民の生活を窮地に追い込んでいる。
アムネスティ国際ニュース
2016年2月9日
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