- 2016年2月 2日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:
ビルマ政府は、1月28日に採択した法律を、即時に廃止するか、改正すべきである。この法律で、これまでの同国の元首らが犯してきた人権侵害や国際法上の犯罪を免責される可能性があるからだ。
解散間近の議会で元国家元首保護法が可決された。同法の原案では、過去の元首はその在任中の「行為」に対する起訴を免れるとしたが、その「行為」の内容が不明であるため、法案は批判にさらされた。
しかし、最終条文には、「法律に従って」との但し書きが加えられた模様だ。一つの改善ではあるが、依然、人道に対する罪や戦争犯罪、国際法上の犯罪などの罪を問わない法律だと受け取れる。
議会は、4月に新政権の発足を前に、同法案を最小限の議論だけで通過させた。解散する政権が、いかなる起訴からも自分たちの立場を守りたいという保身が働いたとの懸念が高まっている。
同法は、裁判、真実、補償などを受ける権利への脅威であり、国際法上の犯罪を起訴する国家の義務が侵されることになりかねない。
ビルマは、治安関係の職員や隊員が、処罰を恐れることなく人権を侵害することができ、また実際に侵害をしている国だ。国は、関係者の免責の強化ではなく、人権侵害の被害者やその家族が事実を知り、補償や賠償を受けられる措置を実施すべきである。
補足情報
問題の法案が議会に提出されたのは、昨年11月8日、野党の国民民主連盟(NLD)が大勝した直後だった。国民民主連盟は4月初旬に政権の座に就く。
これまでビルマ当局は、国内の武力紛争での戦争犯罪や人道に対する犯罪で、批判にさらされてきた。また、少数民族ロヒンギャの迫害も続けてきた。アムネスティは、同国の人権侵害の実態をたびたび調査し、公表してきた。
軍事政権の時代には、人権侵害に関わった治安関係者らは、憲法の保護のもと起訴を免れてきた。
アムネスティ国際ニュース
2016年1月28日
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