- 2016年1月21日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:デンマーク
- トピック:難民と移民
デンマーク議会は1月21日、現行の外国人法の改正案を採決する。この改正には、難民の財産没収や紛争地などに残る家族呼び寄せの申請に3年も待たなくてはならないなど、難民に深刻な影響を与える案が盛り込まれている。
紛争を逃れる人びとに対し、危険で命がけの旅に子どもたちを含む家族を連れて行くか、いつの日になるかもしれない再会を期して家族を紛争地に残すか、という究極の選択を迫るものだ。
離散は、トラウマ体験からの回復に悪影響をもたらしたり、移り住む国で適応して生活していく上で障害となったり、家族に大きなダメージを与える。
一部の難民の資産を没収するという改正案には、猛烈な社会の反発があった一方で、難民保護の流れに逆行するいくつもの問題ある法案が議会を通過してきた。永住権の申請年齢の制限、一時滞在期間の短縮、家族呼び寄せ申請の有償化(1件900ユーロ)、家族の旅費負担の義務化などだ。
政府は、欧州人権条約の8条に違反する可能性があることを認識したうえで、これらの法制化を進めてきた。
実際、国連難民高等弁務官は、「これらの方策は欧州人権条約や子どもの権利条約に反する可能性がある」と警告した。その中には、司法判断もなく庇護希望者や移民を拘束することが可能になる、改正(昨年11月に成立)も含まれている。これらは、政府自らがいうところの、同国が難民にとってあまり魅力的ではない国にするための対応の一環だった。
1月21日に新たな修正案が採択されると、1月26日には、法制化に向けた最終投票が行われる。
アムネスティは各国に対して、1月21日の国連普遍的定期審査の際には、難民への排他的な姿勢の変更をデンマークに迫ることを強く求めている。
デンマークは、かつては難民条約を最初に支持した国の一つだったが、現在は安全と健全な生活を求める難民の前に厚い壁を築くという、破廉恥な国に転じた。
アムネスティ国際ニュース
2016年1月21日
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