- 2016年1月19日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:パキスタン
- トピック:
イスラマバードで1月13日、オートバイに乗った2人組がARYテレビ局の建物内に手榴弾を投げ入れ、建物内にいたビデオ編集員が爆発物の破片で負傷した。
パキスタンで報道に従事する人びとを標的とした卑劣な襲撃が続いているが、今回の事件も表現の自由に対する攻撃であり、報道に携わる人びとがますます危険にさらされている現実を示している。
現場には、「イスラム国」を自称する武装集団に忠誠を誓うウイラヤー・ホラサン・イスラム国の犯行声明が残されており、パキスタン軍の攻撃の報道内容に対する報復だとしている。
パキスタンの報道関係者は、国や民間の団体による誘拐、恣意的な逮捕、拘留、脅迫、殺害、嫌がらせを受けており、その危険と隣合わせに仕事をしてきた。今回の事件で手榴弾の危険も加わった。
一連の襲撃は、報道全体への脅しと検閲が目的であり、表現の自由を潰そうとしている。
ウイラヤー・ホラサン・イスラム国は、昨年11月にファイサラバードのドゥンヤテレビ局を、翌12月にはラホーディン・ニュース社を、それぞれ襲撃して犯行声明を出していた。同組織の襲撃で、昨年は少なくとも2人の報道従事者が殺害され、6人が負傷した。
報道スタッフと記者らは、政府関係者からも、嫌がらせや脅迫を受けている。前日12日には、国の準軍事組織がニューヨークタイムズの記者の自宅を令状なしで家宅捜査していた。「地域の住民捜査の一貫だ」と政府は説明したが、対象となったのはわずか数軒のみだった。内務大臣は捜査について調査するよう、その日のうちに命じてはいるが、この件は、記者のプライバシー侵害だけではなく、現政権や軍方針の報道を主に担当していた同記者に対する威嚇行為と見なされるだろう。
そして翌日、ARKが襲撃された。
アムネスティは、パキスタン当局に対し、ARYテレビを含む一連のメディア襲撃事件の捜査とその結果の公表を徹底し、容疑者を裁判にかけることを求めている。また、合法的な仕事で身の危険にさらされている報道関係者やその家族に十分な保護を提供し、報道の独立性を保障することも求めている。
アムネスティ国際ニュース
2016年1月14日
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