- 2015年12月28日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ギリシャ
- トピック:性的指向と性自認
ギリシャ議会は、シビルユニオンを同性カップルにも適用する画期的な法律を可決した。
シビルユニオンの同性パートナーを近親者として認め、夫婦の権利の一部を享受することができる。例えば、病院での面会、緊急医療判断、相続権などだ。
これで、同性カップルの権利を求めて活動してきた人びとの要望の一部が実現した。国が法律で、同性関係を認めたことは、大きな意義がある。
ギリシャ正教や複数の政党から、激しく抵抗を受ける中、この法律案がまとまり、成立した。ギリシャは寛容になりつつあるというメッセージでもある。
このメッセージは、LGBTI(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・インターセックス)の人びとだけでなく、正義と平等を求めて闘うすべての人びとにとって大きな希望となる。
一方で、婚姻関係と対等の権利が保障されたわけではなく、闘いは始まったばかりである。結婚も含め法の前での平等、養子縁組の権利、トランスジェンダーの人びとの性の法的な認知は、これからだ。さらに、ギリシャのLGBTIの人びとは、日常的に敵意に満ちた目にさらされている。暴力事件は増加傾向にあり、ヘイトスピーチは日常的だ。
NGO「カラーユース」によると、LGBTIの人びとをターゲットにした殴打、銃撃、強かんなどの暴力事件は、今年は前年より3倍に増えたという。国の保護対策も不十分だ。テレビでは、同性カップルの愛情表現が検閲を受ける。トランスジェンダーの人びとは、法的に認知されていない。
すべてにLGBTIの人びとの権利が、尊重され、保護されなければならない。何人も、その素性、パートナーの性、性自認で差別や暴力を受けてはならない。政府はこれを機に、LGBTIの人びとが求める、すべてにおいて平等の権利を認めるべきである。
背景
ギリシャでは、2008年、婚姻の代替としてシビルユニオンを導入した。ただし、対象は異性間のみだった。2013年11月、欧州人権裁判所は、これを性的指向の人びとへの差別であり、欧州人権条約に違反すると裁定した。この裁定に基づく是正・改善が行われなかったため、162のカップルが訴訟を起こし現在係争中だ。
アムネスティはこの3月、ギリシャの法務大臣に面会しLGBTIの人びとへの差別の完全な根絶に向け施策を講じるよう要請した。
2015年、法務大臣は、すべてのカップルにシビルパートナーシップの権利を法制化すると発表した。
アムネスティ国際ニュース
2015年12月22日
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