- 2015年12月18日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
12月18日、2人の死刑確定者の死刑が執行された。執行の手を緩めようとしない安倍政権下で、14人目の執行となった。
18日午前、東京拘置所の津田寿美年さん(63才)と仙台拘置支所の若林一行さん(39才)に死刑が執行された。津田さんは隣人3人を殺害し、2011年に死刑判決を受けた。裁判員裁判での死刑判決で初の執行だった。若林さんは、強盗殺人と死体遺棄で2007年に死刑判決を受けた。
死刑執行に前向きな日本政府の姿勢は、何とも冷血である。死刑は不正義であり、凶悪犯罪への対応策にもならない。死刑は、生きる権利を奪いさる極めて残虐な刑罰である。日本は死刑廃止に向け、まず死刑の一時停止に踏み切るべきである。
日本は、死刑に関して過ちを犯してきた。世界を見れば、死刑を存置する国は少数であり、昨年の執行国数は、わずか22カ国にすぎなかった。今年11月現在、140カ国が法律上あるいは事実上死刑を廃止している。
12月初旬には、モンゴル議会が死刑を廃止する法案を可決した。来年9月に発効する。エルベクドルジ大統領が力強い指導力を発揮して死刑廃止への道を切り開いた。
死刑を存置する日本の存在は、世界でも東アジア地域でも、悪い意味で際立っている。
日本の政治家も意を決してリーダーシップを発揮しなければ、世界からますます取り残されてしまうことになる。
背景情報
日本では死刑の執行は、秘密裏に行われる。本人が執行を知らされるのは数時間前であり、通告されないこともある。また、家族や弁護士は通常、執行が行われてから知らされる。
死刑確定者への法的保護措置も不足している。国連の専門家からも度々指摘を受けてきた。
例えば、死刑判決を受けた被告が十分な弁護を得られないこと、あるいは義務的上訴制度がないことだ。また、死刑確定者の中には、精神障がいや知的障がいがある人もいるし、その人たちに死刑が執行されてきたことも周知のことである。
アムネスティは、犯罪内容や状況、有罪・無罪、犯罪者の特質、執行方法などに関わらず、いかなる場合も例外なく死刑に反対する。死刑は生きる権利の侵害であり、最も残虐で非人道的かつ品位をおとしめる刑罰である。
アムネスティ国際ニュース
2015年12月18日
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