- 2015年12月 3日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イエメン
- トピック:地域紛争
イエメンで9月23日、サウジアラビア主導の連合軍が英国製の巡航ミサイルで、首都サヌアの民間陶器工場を破壊したことが、アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチによる調査、目撃者への聞き取りでわかった。
この攻撃で工場にいた1人が犠牲となった。これは明らかに、戦時に適用される国際人道法に違反する行為である。
英国政府は、サウジアラビア連合軍は国際人道法に従った英国製兵器の使い方をしており、また連合軍の兵器使用を「非常に注意深く監視している」と主張してきた。しかし今回の空爆は、その主張をくつがえすものである。この攻撃を含め明らかに国際人道法に違反する可能性がある空爆について、関係国による合同調査が行われたかどうかもわからない。
アムネスティは11月6日に、ヒューマン・ライツ・ウォッチはその後、現地を訪れた。工場の持ち主や空爆の目撃者らの話によると、4発のミサイルが立て続けに陶器工場に命中した。
すべての国は、兵器の輸出を管理し、一定の条件下における兵器の輸出を制限・禁止する国際法に準拠することが求められている。英国は武器貿易条約(ATT)の加盟国であり、その制定に中心的な役割を果たした国だ。ATTでは、輸出した兵器が民間の施設や人への直接的な攻撃、もしくは他の戦争犯罪に使用される可能性があるときは、輸出元の国にその輸出を認めることを禁じている。また兵器の輸出国は、兵器が重大な人権侵害や人道法違反に使用される可能性がないか常に監視する義務があり、その可能性が大きい場合は、兵器の輸出を認めてはならないと、同条約は定めている。
こういったリスクが明らかに存在する今、英国をはじめとするすべての国は、イエメンで違法な空爆に使用される可能性がある武器の輸出を中止するべきである。
国際調査委員会を設置し、イエメン紛争に関する違法容疑の調査、事実関係の解明、違法行為の責任者の特定を行うべきである。
アムネスティ、ヒューマン・ライツ・ウォッチ共同プレスリリース
2015年11月25日
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