- 2015年11月18日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
イスラエル軍の兵士や警官ら多数が11月12日、ヘブロンのアル=アリ病院に訪れ、パレスチナ人男性(28才)を超法規的に処刑した。
アムネスティ・インターナショナルが聞き取りした目撃者2名によると、パレスチナ民間人になりすました多数の兵士と警官が病院に侵入し、3階の部屋に入った。入院中のアッザム・アズミ・シャラルダ容疑者(20才)を拘束するためだった。同容疑者は10月25日、イスラエル民間人を刺す事件を起こしていた。
部屋に入った警官らは、容疑者の従弟であるアブドゥラ・アッザム・シャラルダさんの頭部や上半身に向けて少なくとも3回発砲した。
軍は、シャラルダさんが兵士たちを襲ってきたと主張した。目撃者によると、警官から数メートルも離れたところにいたシャラルダさんは、武器を持たず、暴力を振るう様子はなかったという。
軍はこの数週間、ヘブロン市内や近郊で少なくとも18人のパレスチナ人を殺害した。超法規的処刑と見られる殺害もあるため、迅速で公平な捜査を徹底するべきである。
11月6日には軍の兵士が、サルワット・アル=シャラウィさん(72才)を射殺した。彼女が兵士たちに車で激突しようとしたからだという。その時の状況を撮影したビデオでは、車のスピードは低速だったため、兵士たちは車の進路から飛びのいた上で、車に銃弾を浴びせた。彼女の息子によると、母親は昼食に行くところだったという。
車で襲撃する意図があったかは別にして、軍は、身に危険が迫っていなくても、兵士の発砲を認めていた、とアムネスティは考えている。
10月29日には、ヘブロンでイスラエル軍兵士に刃物で軽傷を負わせたとされるマーディ・アル=ムタシブさん(23才)が、軍に射殺された。事件当時のビデオでは、銃弾を受けたマーディさんが路上で悶え苦しむなか、軍兵士がマーティさんに向けて再び発砲していた。
負傷者を撃つことは故殺であり、第4ジュネーブ条約の重大な違反である。ビデオの様子では、マーティさんは兵士に何の脅威にもなっていなかった。
パレスチナ人がイスラエルの民間人、兵士、警官を襲う事件が、10月初旬から激増している。だからといって、イスラエル軍と警察が身に危険が迫っていない状況での武器の使用を正当化することはできない。
国や軍の命令、共謀、黙認による違法で意図的な殺害は、超法規的処刑に相当し、国際法の下、いかなる場合も禁止される犯罪である。
アムネスティ国際ニュース
2015年11月12日
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