- 2015年10月31日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
アムネスティが東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区を現地調査した結果、イスラエル軍は正当な理由もなく致死的な武器を使って、パレスチナ人を違法に殺害してきたことが分かった。
身の危険がないにもかかわらず、軍がパレスチナ人に銃を向けて射殺するという事件が、少なくとも4件あった。これは超法規的処刑といえる。
4件の中には、銃撃で倒れ込んだ被害者が血を流していても手当をせず、息が絶えるまで放置されるというケースもあった。これは、拷問その他の虐待を禁止する国際基準に違反する。
イスラエルと被占領西岸地区では、10月1日以来、パレスチナ人がイスラエルの市民、軍や警察関係者を刃物で襲撃する事件が立て続けに起こった。これに対して、イスラエル当局は、一連の事件は意図的にイスラエル人を狙ったものだと主張し、報復としてパレスチナ人30人余りを不当に殺害してきた。
10月26日の殺害は、特に冷酷だった。同日、ヘブロン旧市街で、サード・ムハンマド・ユーセフ・アル=アトラシュさん(19才)は、軍兵士の要求で渡したIDカードの返却を求めたところ、何の威嚇もしていないにもかかわらず、いきなり銃口を向けられ6、7発の実弾を受けて死亡した。
イスラエル警察は、この事件を「ナイフによる襲撃未遂」とした。しかし、この様子を自宅のベランダから目撃していた住民の話では、襲撃のような仕草はなかったと語る。
兵士たちは、銃弾を受けおびただしく出血していた被害者に、何の手当も施さず40分ほど放置した。それからナイフを取り出して、虫の息の彼の掌に置いたという。救急車に運び込んだのは、さらに20分ほど放置して息を引き取ったように見えてからだという。
また10月25日には、ダニア・ジハード・フセイン・エルシードさん(17才)が国境警察に射殺された。エルシードさんは、ヘブロンの検問所で呼び止められた。警察は、バッグの中を物色した上で、「ナイフを出せ」と怒鳴った。さらに、彼女の足元に数発発砲して威嚇し、両手を上げさせた。「ない」と叫んだが、警察は両手を上げたままの彼女に6、7回発砲した。
この数週間、イスラエルの軍と民間人は、襲撃を受けたりして、身の危険を感じてきた。
軍や警察の武力行使は、脅威のレベルに対し過度にならずに段階的に対応する義務、また致死的な武器を使用する前には、まず容疑者の身柄を拘束する義務がある。残念なことに、イスラエル当局は、イスラエル軍と警察がパレスチナ人を違法に殺害しても、罪を問われない環境を作ってきた。
アムネスティはイスラエル当局に対し、これらの事件の独立した捜査を求める。また、被占領パレスチナ地域でのパレスチナ人故殺は、すべての国家が普遍的管轄権を行使できる第4ジュネーブ条約の重大な違反である。
アムネスティ国際ニュース
2015年10月27日
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