- 2015年10月 7日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:米国
- トピック:企業の社会的責任
米国のコロンビア特別区巡回裁判所(連邦控訴審)は、昨年4月と今年8月の2回、米国証券取引委員会(SEC)が定めた特定の開示義務が、同国憲法修正第一条のもとでの企業の表現の自由を侵害するとして、その義務を無効とする判断を下した。アムネスティは、10月2日、同裁判所に対し判断の再考を求める申立書を提出した。
2010年に成立した金融規制改革法(ドッド=フランク法)の1502条(紛争鉱物開示条項)は、企業に対し、アフリカ中部地域の紛争鉱物が自社製品に含まれているかどうかの調査とその結果の開示を義務付けている。また、SECは、この開示義務を具体化した規制を導入している。その中で企業に対し、自社製品が紛争鉱物に指定された鉱物を使用している場合、「コンゴ民主共和国の紛争と無関連である確証なし」などの指定された表現で開示することを求めている。
ところが、この連邦控訴審の判断は、大企業が消費者にそう伝えなくてもよい、という判断を下した。
大法廷は、この理不尽な判断を覆すべきである。これでは、国が、企業に情報開示を求めることができず、その結果、投資家への情報提供や人権の推進、消費者・労働者の安全確保に支障をきたすことになる。
コンゴ民主共和国での武力紛争で、5百万の人命が失われた。紛争鉱物の情報開示は、スマートフォンのような製品と、悪辣な人権侵害を犯している武装グループとのつながりを断つための、重要な取り組みである。鉱物取引が武装グループの資金源になっていることは、周知の事実である。にもかかわらず、多くの米企業は、憲法の「表現の自由」を隠れ蓑にして、同情報の開示を怠ってきた。
人権より利益を優先する姿勢を改め、訴訟を起こした企業連合は、透明性を重んじ、購入するものが道徳的に問題のない製品かどうか知りたいという消費者の声を聞くべきである。
情報は力である。しかし、企業が情報の開示を怠りその力を封じれば、個人や地域社会が人権侵害を受ける。アムネスティは、そうした人権侵害を数多く見てきた。紛争鉱物開示規制のような法令は、そのような力の不均衡を崩す取り組みに不可欠だ。
訴訟で透明性が後退
2014年、コロンビア特別区巡回裁判所の判事団は、遵守コストが考慮されていないなどの企業側の反論をほぼ退けて、紛争鉱物開示規制を支持したが、「製品は、…国の紛争と無関連である確証なし」など製品に関する表現を指定した開示義務に関しては無効とにした。
また2015年8月でも、陪審団は再審理でこの条項は合衆国憲法修正第一条に反するとした。
アムネスティは、この訴訟でSEC側の訴訟参加人を務めており、裁判所に紛争鉱物法を完全な形で発効させるよう要求している。
また、紛争鉱物法が、投資家や消費者に紛争鉱物に関する情報を提供し、コンゴ民主共和国や周辺国の武装グループへの資金の流れを抑えるという目的を果たしている。しかし、陪審団は、この事実を無視するという過ちをおかした。この法によって今年6月には、1200社以上の企業が紛争鉱物に関する報告書を提出し、鉱物取引経路の情報に、かつてない透明性がもたらされた。
アムネスティ国際ニュース
2015年10月2日
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