- 2015年7月24日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:カンボジア
- トピック:
カンボジア当局は、甚だしく不公正な裁判で、反政府派の活動家ら11人に下した政治的な有罪判決を直ちに取り消すべきである。
プノンペンの裁判所は7月21日、青年活動家10人と野党のカンボジア救国党の職員1人に、暴動罪で7年から20年の実刑判決を言い渡した。
訴訟手続きには数多くの欠陥があり、被告は公正で独立した裁判を受ける権利を侵害された。
昨年7月15日、2013年7月の国民議会選挙結果をめぐり、首都の自由広場でデモが行われたが、デモ隊と準警察との衝突に発展し、活動家らが逮捕された。当時、与党のカンボジア人民党は、選挙結果をめぐって1年も続いてきた議論に終止符を打つため、政治的合意を得ようと、カンボジア救国党と協議をしていた。
カンボジア救国党は、ベトナムがカンボジア領内に侵攻しようとしているという主張を訴える運動をしていて、有罪判決を受けた人たちの多くは、その運動に関わっていた。
裁判は、またもや反政府派を沈黙させるという政権の利益のために利用された。それにしても、「暴動」を指揮した、あるいは関わったという罪での有罪は、言語道断である。
国際社会は、抑圧的なNGO規制法の採択に続く、カンボジアでのこの政治色の濃い判決は、警鐘として捉えるべきである。
古い慣行はなかなかなくならず、与野党対話は暗礁に乗り上げたように見える。
アムネスティは、有罪判決を覆し活動家らを釈放するよう求める。ただし、彼らが国際法で明確に定められた犯罪で起訴され、カンボジアの人権義務を満たす公平な手続きで裁判を受け、裁判所の独立した判断で勾留を継続されているのなら別だが。
背景情報
裁判所は不必要に短時間で審理を進めようとしたため、被告側弁護団らは手続きをボイコットする結果となった。そのため、今回の審理には、弁護団から出席したのは1人だけだった。
裁判官は突然、論告求刑を求め、被告側の弁護士が揃うまでという延期要求を拒否し、たった15分間の評議で評決し有罪判決を宣告した。
裁判中、容疑を立証する証拠や証言はまったく示されなかった。罪状の根拠となった法律は、適用範囲が広すぎ、乱用される危険性がある。
アムネスティ国際ニュース
2015年7月21日
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