- 2015年7月 9日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ラオス
- トピック:危機にある個人
国連人権理事会は、2015年6月25日、第29会期において、ラオスに関する普遍的定期審査の結果を承認した。審査結果の承認に先立ち、アムネスティは下記の声明を読み上げた。
アムネスティは普遍的定期審査の作業部会で10カ国が作成した、ソムバット・ソムポーンさんの強制失踪に関する勧告を歓迎する。ソムバットさんは、著名な社会的指導者であり、生涯をかけて持続可能な成長と貧困の撲滅を推進してきた。
ソムバットさんは、2012年12月に、首都ビエンチャンにある警察詰所の前で交通巡査に呼び止められ、拉致された。その様子をビデオカメラがとらえていた。白いピックアップトラックで連れ去られるのを目撃されて以降、消息が途絶えている。
残念ながらラオスはこの勧告の中の6項目を受け入れなかった。しかし、政府はアムネスティが要求している事件の公正な徹底捜査は約束した。
勧告はさらに、ラオスに対して「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」を批准するよう求め、同国は批准を検討中であることを示唆した。しかし、国連人権理事会の特別手続き、特に強制的または非自発的失踪に関する作業部会の訪問の常時受け入れという、7カ国からの要請を拒否した。
また当局がソムバットさんの失踪捜査への技術的支援の申し出を拒否したことは、法の支配を維持し国民の権利を守るという本来やるべき責任を果していないことを意味する。この失踪事件とその後のいい加減な対応は、ラオスで日常化する弾圧、情報の隠ぺい、人権侵害に対する責任追及の欠如を象徴している。こうした状況のため、市民は何事にも委縮し、表現の自由の権利の行使を控えるようになっている。
ラオスの政府代表団は今年1月20日、普遍的定期審査の作業部会の冒頭で、「表現、結社、集会の自由の権利は、憲法、法律、法令において保障されている」と発言した。しかし、実際にはこれらの権利は、国が報道、司法当局、政治的・社会的機関を厳格に管理しているため、著しく制限されている。アムネスティは当局に、普遍的定期審査の過程に参加する意思を表明することを求める。とりわけ次の選挙で国連人権理事会への加入を求めるのならば、第三者による人権状況の監視を可能にし、人権の推進と保護に関する協議に正面から参加するよう求める。
アムネスティ国際ニュース
2015年6月25日
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