- 2015年6月27日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
国連の独立調査委員会が昨年のガザ紛争に対する調査結果を公表した。この公表で、ガザ武力紛争で犠牲になった人たちが受けるべき法の正義に、事態は一歩近づいたと言えよう。犠牲は、イスラエルとパレスチナの双方が犯した戦争犯罪などの国際法の重大な違反行為によってもたらされたものだ。
この報告書はすべての犠牲者とその家族のための真相解明と責任追及に向けた重要な一歩である。国連が、アムネスティがガザ紛争を独自に調査した報告書を検証したことは歓迎したい。アムネスティは、その報告書の中で双方がすさまじい国際人権法、国際人道法違反を繰り返していた事実を明らかにした。
圧倒的な証拠が存在する現在、国連人権理事会の理事国とオブザーバー国は、委員会の調査結果と勧告を重く受けとめ、委員会やその報告書を政治化せず、責任追及に必要なあらゆる適切な措置を理事会として講じるようにしなければならない。
加えて、イスラエルとパレスチナの当局は1月に開始された国際刑事裁判所(ICC)の検証作業に協力しなければならない。また、委員会が勧告しているように、すべての国家は被占領パレスチナ地域に関するICCの作業を積極的に支援しなければならない。
調査委員会の報告書には、イスラエルとパレスチナ武装グループ双方による重大な違反行為が記録されている。中には、戦争犯罪となり得る行為もある。昨年7月、人権理事会に委託された同委員会は、ガザ地区内におけるイスラエルの軍事作戦および東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区でのイスラエルの行動、またイスラエルへの攻撃を含むガザのパレスチナ武装グループの活動について調査した。
これまでアムネスティは、イスラエルとパレスチナ当局に対し、同委員会とその後の対応に協力するよう繰り返し要請してきた。
ベンジャミン・ネタニヤフ首相をはじめとするイスラエルの高官たちは、委員会はイスラエルに対し偏見があるとたびたび非難してきた。イスラエルは紛争の報告書を独自にまとめて発表し、自国の軍は国際法に沿って行動したと主張した。また調査委員会の調査員やアムネスティなど国際人権組織の調査員がガザ地区に立ち入ることを拒否してきた。
アムネスティは、紛争以降に発表した一連の報告書において、イスラエル軍とパレスチナ武装グループ双方による戦争犯罪など、国際人道法の重大な違反行為があった事実を明らかにした。例えば、民間人の違法な殺害、民間の施設・財産の破壊、その他の重大な違反行為や人権侵害などである。
また、イスラエルがガザ地区内の在宅中の家や象徴的なビル、病院や医療従事者に対して、攻撃を加えていた事実を記した報告書も出している。それぞれの報告書には、戦争犯罪を示す証言や分析も記載した。
一方ガザ地区のパレスチナ武装グループは、イスラエルに向けて数千発のロケット弾と迫撃砲弾を発射したが、正確に照準できない弾薬を民間人の地域に発射することは戦争犯罪である。ハマスとパレスチナ武装グループの声明も、民間人の殺傷を意図していたことを示唆している。アムネスティはまた、紛争中のガザで、協力者とみなされた少なくとも23人がハマスによって超法規的に処刑されたこと、多数が恣意的に逮捕され拷問を受けていたことも報告書で明らかにし、非難した。
アムネスティ国際ニュース
2015年6月22日
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