- 2015年6月16日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イタリア
- トピック:先住民族/少数民族
ローマ裁判所民事部は5月30日、ローマ当局が少数民族のロマの人びとを社会から分離した居住地に押し込んできたことは違法だという裁定を下した。当局の強制収容を人権侵害に当たるとしたこの判決は、同国でロマが受けている差別を解消する上で画期的である。
フェンスに囲まれ、コンテナ型のプレハブが並ぶ収容所は、2008年に空港近くの辺鄙な場所に作られた。政府が「ロマ問題」対策として出した非常事態宣言に基づく措置だった。イタリアの最高裁判所は2011年、この非常事態宣言とそれに関連するすべての手段・決定は無効だとする判決を下したにもかかわらず、ローマ当局は収容所を完成させ、ロマの人びとを収容所内の居住区に割り当てた。他の収容所から強制的に移転させられた家族も多かった。
アムネスティはローマ当局とイタリア政府に対し、速やかに判決に従い、現在ラ・バルブタ収容所に住む家族への差別的扱いを直ちに中止するよう求めている。
当局が実行すべきことは、新たな収容所の建設を中止し、収容所の人びとと誠実な話し合いを持ち、住居問題に対する実現可能で、公正で、適切な代替え策を見極めることである。その策はもちろんイタリアが負う人権の責務に沿う必要がある。そして、公営住宅などの適切な住居を、必要な人全員に提供しなければならない。
今回の判決は当局の身勝手なやり方を白日にさらすことになったが、肝心なのは今後の対応だ。イタリアはこのような差別的制度を廃止し、住宅支援を必要とするロマの人びとにいくつかの選択肢を提供しなければならない。
イタリアは、これまで自治体の差別的政策に是正措置を取って来なかったが、これまでの無作為に直ちに終止符を打たなければならない。アムネスティは欧州人権委員会に、この判決を期に同国に対する人権侵害の訴訟手続きを始めることで圧力をかけるよう要請する。適切な住居を求めるロマの人びとの差別的扱いは、EUの反差別法違反に相当するからである。
アムネスティ国際ニュース
2015年6月9日
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