- 2015年6月14日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ウクライナ
- トピック:性的指向と性自認
ウクライナで、プライド・マーチが同性愛を嫌悪する者たちの襲撃を受け、参加者約10人と警官5人以上が負傷した。警官の1人は重傷を負った。
当局は、プライド・マーチ参加者に対する暴力の防止や負傷者を出さないために、もっと十分な対策をとるべきであった。
主催者との調整もせず、避難計画も立てていなかった。その結果、警官と国家警備隊1,500人以上を動員したにもかかわらず、負傷者を出してしまった。
当局は、卑劣な同性愛嫌悪者の暴力に対して、事前にこれを防ぐ手立てを講じるべきであった。警察は、脅迫を受けている参加者の安全を確保する対策を打たずに、パレードを警護するだけにとどまった。
時間をかけて保護する計画を立て、主催団体と調整していたならば、これだけの負傷者を出さずに済んだかもしれない。
当局は暴力行為に関わった者を調べだして起訴し、今後はLGBTI(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・インターセックス)の人びとを暴力から守るために一層の努力をするという姿勢を示すことが不可欠だ。
2012年と2014年には、警察が脅迫を受けた主催団体に対して、参加者の安全を保障できない、と直前になって、通告したため、プライド・マーチはキャンセルされた。今年も極右グループらから脅しがあった。警察は主催者との会合で、開催を中止するよう働きかけていたが、直前になり、ようやく警護することに同意した。
安全を考慮して、プライド・マーチのルートは直前まで明らかにされないまま、当日午前10時、参加者およそ250人が歩き出した。しかし、開始直後からひっきりなしに襲撃を受けた。警察は参加者を保護しようとし、少なくとも28人の反対派を拘束したにも関わらず、警備が手薄だったところでけが人が出た。
平等、多様性、表現および集会の自由を讃えるはずのイベントで、このような同性愛嫌悪の暴力が発生し、当局が参加者を十分保護できなかったのは、残念である。
プライド・マーチが計画通り行われたことは、ウクライナが寛容という点において一歩前進したことを意味する。しかし、容易な一歩ではなかったし、痛みも伴った。この国がもっと寛容な国になるには、道のりはまだ長い。
背景情報
ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は活動家らの行進する権利を支持しており、アムネスティは当局にプライド・マーチ参加者の保護を求める約2万筆の署名を送った。
同国は、過去に繰り返しLGBTIの人びとの表現の自由と平和的集会の権利を守ってこなかった。
2012年5月20日に計画されていたプライド・マーチは、さまざまな個人やグループから暴力の脅しを受け、警察が「けが人が出る恐れがある」として参加者の安全を保障しなかったために、主催者はやむなく実施を見送った。
2014年7月5日に計画されていたプライド・マーチも、警察が直前に反対デモが予想され参加者の安全を保障できないと通告したため、取りやめになった。
アムネスティ国際ニュース
2015年6月6日
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