- 2015年6月 1日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:地域紛争
昨年7、8月にイスラエルがガザを攻撃しているとき、ハマスの部隊は、イスラエルなどに協力したとされるパレスチナ人たちに対し、誘拐、拷問、処刑などの蛮行を繰り返していた。
アムネスティは、最近公開した報告書の中で、少なくとも23人のパレスチナ人が超法規的に処刑され、ハマスの政敵、ファタハの多数のメンバーや支援者が逮捕、拷問されるなど、ハマスによる一連の人権侵害を明らかにした。
イスラエル軍による攻撃で多くのガザ市民が犠牲になり街が破壊されていた一方で、その腹いせにハマスが冷酷な違法処刑や重大な人権侵害を行なっていた。
紛争による混乱の最中、事実上の統治者であるハマスは、治安部隊に囚人などへの人権侵害を思うままにさせていた。
これらの言語道断の行為は復讐として、またガザ地区内での恐怖心をあおるために、企てられたものだった。その中には戦争犯罪に当たるものもある。
処刑の多くは、昨年7、8月の紛争中、イスラエルの協力者を標的とする作戦(暗号名「絞首」)の中で、協力者への措置だと発表されていた。しかし、処刑された人たちのうち、少なくとも16人は紛争前からハマスに拘束されていた。また、ハマスの部隊は、ガザ内の最大政敵組織、ファタハのメンバーや支援者を誘拐、拷問、襲撃したりもしていた。被害者の中にはパレスチナ自治政府治安部隊の元隊員もいる。
部隊によるこれらの犯罪行為で責任を問われた者は1人もおらず、違法行為は上からの命令か、黙認されたということであろう。
ハマス当局と指導部は、正義を維持するどころか、無力な人たちに対するこれらの蛮行をずっと奨励、支援していた。
昨年8月22日には、アル=オマリ・モスク前で数百名が見守る中、男性6人が公開処刑された。ハマスは、「革命裁判所は、男らに協力容疑で死刑を宣告した」と発表していた。
また、誘拐された人たちは警棒や銃の台尻、ホース、ワイヤーなどで激しく殴打されたり、不自然な姿勢を強要されるなどの拷問を受けた。ガザの基幹病院であるアル=シファ病院の診療所内で、尋問、拷問などの虐待を受けた人たちもいる。協力した容疑で逮捕されて獄死した人が、少なくとも3人いた。
ハマス指導部は、ガザをはじめとした地域のパレスチナ人の権利と正義を繰り返し求めている。しかし、その行動は、人権、正義、法の支配を尊重したものでは必ずしもない。
部隊の行為は、国際人道法の最も基本的な原則を無視してきた。武力紛争中の被拘禁者に対する拷問や虐待は戦争犯罪である。超法規的処刑もまた戦争犯罪である。
ガザの事実上の統治者であるハマスは、あらゆる法執行部門に、囚人を常に人道的に処遇するように指導しなければならない。また、超法規的処刑と拷問の申し立てに対しては、中立の立場の独立的調査を行い、加害者を公正な裁判で裁くべきである。
アムネスティ国際ニュース
2015年5月27日
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