- 2015年4月23日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:南アフリカ
- トピック:難民と移民
南アフリカ当局は、外国人に対する暴力などの人権侵害に対して具体的な成果が上がるよう、本気で取り組むべきである。難民や移民、その店舗などに対する襲撃がダーバンはじめ各地で多発しているが、長く続くこの問題に対して、ようやく関係当局が重い腰を上げた。
クワズール・ナタール州ダーバンでは4月に入ってから、少なくとも4人が殺害され、その他多数が重傷を負った。また、店は略奪され、1,000人以上が家を追われた。
警察は容疑者を逮捕しているが、当局は透明かつ独立した調査を徹底して行い、加害者の責任を問うべきだ。まん延する不処罰の風潮は終わらせねばならない。
アムネスティは南アフリカ政府に対し、難民が攻撃目標とならないよう警察などの機関を入れた組織的計画を立てるよう繰り返し訴えてきた。今年1月にも要請した。
最近の襲撃は事件を取材中の記者や介入した警官をも襲うという露骨なものだが、それ以前から、ガウテング州やプマランガ州などでも同様の襲撃が何カ月も続いていた。
4月13日、クワズール・ナタール州のセンゾ・チュヌ知事は元国連高等人権弁務官ナヴィ・ピレイ氏の指揮のもと、州における暴力を調査する専門家の作業チームを立ち上げた。難民への暴力は、同州ではまれなことだったが、ズールー族のグッドウィル・ズウェリティニ王が「政府はすべての外国人が南アフリカからいなくなるような対策を取らねばならない」という発言が引き金となったようだ。
4月13日、クワズール・ナタールグェデ・マンタシェアフリカ民族会議(ANC)事務局長は、「難民が攻撃を受けないように別に収容施設を作る必要がある」と述べた。この発言は本末転倒であり、南アフリカの難民保護政策を弱体化し、さらなる襲撃を助長しかねない。
市民団体、アムネスティ、人権擁護組織は、終わらない危機に対処するため、省の垣根を越えた委員会を作るよう繰り返し要請してきた。これを受けて4月12日、ジェイコブ・ズマ大統領は暴力を非難し、高官レベルの代表団を州政府に送り協力して問題に対処するとした。代表団には内務、国家安全保障、警官担当大臣が含まれる。
自治体当局は、街に緊張や脅威の状態が発生したら直ちに対応する責任がある。すべての人が「公的および私的な立場の人たちからいかなる暴力をも受けない」という憲法上の権利が守られるようにするのは南アフリカ政府の義務であり、あらゆるレベルの行政機関は、この義務を遂行する責任を負う。
アムネスティ国際ニュース
2015年4月14日
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