- 2015年4月 8日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:タイ
- トピック:
タイ人の実業家が3月31日、タイ王室を批判したとされる内容をフェイスブックに投稿したことで、25年の有罪判決を受けた。この判決はまったく非常識であり、同国は時代遅れの不敬罪法を早急に改正する必要があることを示している。
軍事裁判所は、テインスサム・スシジタセラニさん(58才)に対し、2014年の7月から11月までの間に計5回、王室を中傷したとされる内容をフェイスブックに投稿したことで、有罪判決を下した。
テインスサムさんへの判決は、プラユット・ジャンオーチャー首相が戒厳令の解除を承認するよう国王に要請した日に言い渡された。暫定憲法の規定により、首相には戒厳令に代わる新たな法令を導入する絶対的な権限が与えられており、国の治安維持には導入が必要であるとジャンオーチャー首相は主張している
2014年5月20日に戒厳令が発令されて以来、何百人もの人びとが恣意的に拘禁され、数十人が集会と表現の自由の権利を、平和的ながら行使したことで、軍事裁判所の法廷に引きずり出されてきた。
戒厳令が解除されても、別の抑圧的な法律に取って代わられたとしたら、人権の状況を改善することにはならない。そうではなく、国がすべきことは、クーデターが押しつぶした、法による統治と憲法による人権の保護を回復すべきである。
テインスサムさんに対する判決は、これまでにない最大級に厳しいもので、当局が政権と異なるあらゆる意見の締め付けを強化しているという憂慮すべき兆候である。
この21世紀に、王室を批判したことで何十年も投獄されるとは、なんとも恐ろしい。平和的に意見を表明することは、犯罪ではない。テインスサムさんは直ちに釈放されるべきであり、不敬罪法は廃止されるか、あるいはタイに課された人権上の法的義務に準拠するものとなるよう改正されるべきである。
軍事裁判所は当初、テインスサムさんに50年の刑を言い渡したが、テインスサムさん側が有罪を認める答弁をしたため、刑期を半分にした。テインスサムさんに控訴する権利はない。
テインスサムさんは、戒厳令下で権力を掌握した軍により、起訴されないまま拘禁された。恣意的に拘禁されていた5日間の間、罪を自白するまで、軍の尋問を受けた。その間、家族に面会することも、弁護士に接見することも許されなかった。
2014年12月、テインスサムさんは、不敬罪を定めた刑法第112条に5回違反したことで起訴され、再度勾留されていた。その後行った保釈請求は却下された。
アムネスティ国際ニュース
2014年3月31日
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