- 2015年3月27日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:メキシコ
- トピック:
メキシコ最高裁判所は、拷問による自供で約23年収監されていた男性を即時釈放するよう命じた。この決定でようやく、同国における司法の正義がひとつ果たされた。
3月18日、最高裁判所はアルフォンソ・マルティン・デル・カンポ・ドッドさんの釈放を命じた。 アルフォンソさんは1992年、姉妹と従兄弟の2人を殺害した容疑で拘束され、拷問で強要された「自白」をもとに1992年に有罪判決を受け、その後約23年間服役していた
今回の釈放の決定は、あまりにも遅すぎた。 自白を引き出すために拷問を使うのは国際人権法の侵害であり、拷問があったと分かった時点で起訴は棄却されるべきだった。
今回のケースは、メキシコの警察で横行する拷問に素早く対処することの重要性を浮き彫りにした。拷問が広く行われていることについては、拷問に関する国連の特別報告者が3月初旬、強く指摘していたことだった。
アルフォンソさんはメキシコシティで1992年5月30日、恣意的に拘禁され、取調べ当局の職員に暴行を受け、首を絞められ、脅迫された。 数年後、数人の警官が拷問を加えたことを、警官の1人が認めた。 しかし、当局はこの証言と拷問の痕跡を記録した診断書などの証拠を無視した。
今回のケースは、同国の刑事司法制度に問題があり、恣意的拘禁や拷問で引き出した証言などが採用されていることを示す、象徴的な事例だ。
アムネスティは、このような不当な事例を数多く明らかにしてきた。 一方、拷問を受けたという訴えにはまともな調査がなされない。 当局側の法医学報告には不備が多く、独立的立場の専門家の報告は、しばしば無視される。
アルフォンソさんの場合も、専門家が独自調査で拷問の事実を明らかにしたにも関わらず、国や地元の司法機関は20年以上にわたりその事実を無視してきた。
裁判官は、専門家の報告をすくなくとも考慮すべきだった。
米州人権委員会や国連恣意的拘禁に関する作業部会をはじめとする多くの国際機関や団体が、アルフォンソさんのケースを調べ虐待の事実を公表してきた。
アムネスティは、検察庁に対し、アルフォンソさんの親族の殺人事件を捜査し、真犯人を裁判にかけるよう求める。 またアルフォンソさんには、人権侵害に対する補償を国に求める権利がある。
アムネスティ国際ニュース
2015年3月19日
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