- 2015年3月19日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:シリア
- トピック:
3月16日の夜に北部シリアのイドリブで起きた、塩素ガスと思われる攻撃を目撃した人たちは、3歳にも満たない幼児3人を含む家族全員が死亡したと、アムネスティ・インターナショナルに語った。
目撃者の話では、16日夜、シリア北西部のイドリブ県、サルミンの町とその近隣に、政府軍によると思われる化学兵器攻撃が2回あり、多くの市民が有毒な塩素ガスにさらされた。この凄惨な攻撃で、何の罪もない住民がのた打ち回った末に息絶えた。犠牲者には幼い子どもたちもいた。
今回の攻撃で、シリア軍が戦争犯罪を行っていることがますます明らかになった。シリアの状況は、直ちに国際刑事裁判所に委託しなければならない。
目撃者によると、3月16日午後9時15分から11時の間に、サルミンと周辺への2度にわたる攻撃で、政府軍のヘリコプターが、ガスの入った樽を4個落とした。その後計100人近くが有毒な塩素ガスにさらされた。
武装グループ、自由シリア軍の戦闘員も数名負傷したが、犠牲者のほとんどは民間人であった。シリア軍の報道官は攻撃を否定している。
医師と自警団員がアムネスティに語ったところによると、攻撃を受けた人びとに爆弾による外傷はなく、目の充血、息切れ、絶え間ない咳、呼吸困難、吐き気、よだれなど、化学兵器の攻撃に特徴的な症状を示していた。
サルミンの攻撃現場近くの家に急行した自警団員はアムネスティに次のように語った。 「ひどい臭いがした。私たちは住民を避難させた。地下室に家族が住んでいると言われた。私たちのうちの3人が下へ降りて行った。ひと呼吸し、ふた呼吸目で喉がひりひりし、目が焼けるように痛み始めた。それ以上進めなかった。息を止めたが、止め続けることはできなかった。女性を1人避難させ、直ぐに次のチームが来て、残りの家族を避難させた。マスクを着けていたので、下まで来られたのだ。彼らは、父親、母親、3人の赤ん坊を避難させたが、全員、死亡した」
地元の活動家が、攻撃の直後、病院からビデオの映像をインターネットに投稿した。映像には、テーブルの上に裸で横たわる瀕死の幼児と、病院に運び込まれ、ベッドに横たわる母親の亡骸の上に置かれた別の2人の子どもの姿が写っている。2人とも裸で、ぐったりしたまま身動きしない。
2013年8月ダマスカス郊外で、サリンガスと思われる攻撃を受け数百人が死亡した。アサド大統領は翌月、化学兵器禁止条約に加盟し、国内にある禁止化学薬剤の備蓄を破棄すると誓約した。 しかし、1年後の2014年9月、化学兵器禁止機関の視察調査団は、有毒化学薬品がその年の初めに、シリア北部の村で兵器として組織的に繰り返し使用されたことを示す有力な証拠を得ていた。
アムネスティ国際ニュース
2015年3月17日
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