- 2015年3月13日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:エジプト
- トピック:死刑廃止
マームード・ラマダンさんは2015年3月7日、アレキサンドリアの刑務所で処刑された。ラマダンさんの絞首刑は大変遺憾である。ラマダンさんはモルシ元大統領の失脚にともない2013年7月5日に発生した政治的暴力事件で殺人罪に問われ、死刑判決を下され、2015年2月の控訴審で判決が確定した。
元大統領の失脚以来、非合法のムスリム同胞団を支持して暴力的な抗議行動をとった400人以上が不公正な裁判で死刑を宣告されている。今回の執行が他の人たちの執行に道を開くのではないかと懸念される。
一方、警察が関わった殺害に関しては、誰も罪を問われていない。
ラマダンさんは、4人の殺害と8人の殺人未遂の罪で他の57人と共に起訴された。また、無認可の抗議デモ、公共・私有財産の破壊、暴力行為、非合法団体への所属の罪にも問われた。カイロ刑事裁判所は、ラマダンさんに死刑、他の57人には終身刑を言い渡した。2015年2月5日、破棄院(最高裁判所)は被告人の控訴を棄却し、マームード・ラマダンさんの死刑と他の57人の終身刑を支持した。
弁護団によると、この事件を当初担当していた弁護士は、裁判の前に捏造された容疑で逮捕され、裁判の結審後釈放された。裁判所はまた、警察が当日、現場近くにいたにもかかわらず、介入して暴力を止めようとしなかった事実を取り上げなかった。裁判所は同じ事件でモルシ支持者14人が殺害されたことは捜査しなかった。弁護団によると、法廷が根拠としたのは当日の一部の様子しか映っていない不鮮明な動画など信頼できない証拠であった。
アムネスティは、生存権を含め人権の保護は政府の責務であり、暴力行為の疑いのある人びとを裁くことはその責務を果たすためだと理解している。人権侵害の加害者は裁かれるべきである。しかし、その手続きは国際的な公正裁判の基準に沿ったものでなくてはならず、また死刑という手段に頼るべきではない。死刑を存置する国は、死刑を科す犯罪の裁判が、国際的に認められた最も厳格で公正な裁判基準に沿っていることを保証する義務を負う。
アムネスティ国際ニュース
2015年3月9日
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