- 2015年3月11日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イラン
- トピック:
相手の男の顔に硫酸をかけて失明させたとして有罪判決を受けた男性が、視力を奪われるというおぞましい刑罰を受けた。イランの過酷な司法制度を示す一例である。
男性は、2009年8月、クォムの町で別の男性の眼に硫酸をかけた罪でキサース(同様の苦痛を与える報復刑)の判決を受け、3月3日に強制的に左目の視力を奪われた。右目を失明させる処置は後日に延期されている。この刑罰に加え、男性はディーヤ(血の対価としての賠償金)の支払いと10年の刑を言い渡された。
故意に失明させる刑罰は、言語道断の残酷な行為である。
この刑罰はイランの司法制度の極度の残忍さと、基本的な人間性をとことん軽視するイラン当局の態度を浮き彫りにするものだ。残虐で非人間的な報復刑を行うことは、正義とはいえない。目をつぶす刑は石打ちや手足の切断、むち打ちなどと同様、国際法で禁じられた体罰である。このような刑罰はいかなる状況でも行われてはならない。
イラン当局は、国連人権理事会の会合に先立つ数週間のあいだに、未成年犯罪者サマン・ナシームさんの処刑の日程を定め、極めて不公正な裁判の後6人のスンニ派男性の死刑に処し、病に苦しむ良心の囚人アテナ・ファーガダニさんを独房に移し、そして今回この恐るべき刑罰を執行した。以上は、改革や人権に関するイランの美辞麗句がいかに空疎であるかを、嫌というほど物語っている。
同様の報復刑で耳と目を奪われる判決を受け、やはり3月3日に刑が執行される予定だったもう1人のイラン人男性がいるが、その執行は来月まで延期された。
イラン当局はただちにこのような残虐な刑罰をやめ、国際的な人権法に則った刑罰のみを執行すべきである。また当局は、硫酸による攻撃をはじめ暴力行為を防止するため、広く一般への啓蒙活動を主導し、このような攻撃の被害者に対して、心理的、社会的、医学的リハビリをはじめ実効ある救済策がとられるよう、措置を講じるべきである。
アムネスティ国際ニュース
2015年3月5日
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