- 2015年2月13日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ハンガリー
- トピック:
ハンガリー当局のNGOに対する攻撃は、魔女狩りにほかならない。(C) ATTILA KISBENEDEK/AFP/Getty Images
アムネスティはハンガリー当局が組織を挙げて行っているNGOの弾圧について詳細な報告書を発表した。弾圧行為は、公の場での誹謗中傷、刑事捜査、事務所の家宅捜索や設備の差し押さえ、政治的な理由による監査などで、結果的にNGOを閉鎖へと追い込みかねない。
アムネスティは、2月初旬にハンガリーを訪問するドイツのメルケル首相に、この前代未聞の弾圧に異議を唱えるよう呼びかけた。
ハンガリー当局が進めているNGOへの攻撃は魔女狩りにほかならない。EUの首脳陣は、ロシアが生み出した手法がEU加盟国でも使われ始めたということを何より警戒すべきである。
2014年5月ハンガリーの政府高官が、多くのNGOは「外国の影響力強化を企んで資金を受け取っている政治的な活動家である」と非難し始めた。国外組織に対するロシアの強硬路線が、EUにも現れ出したのだ。NGOの信用をおとしめようと、政治家は中傷発言をし、メディアは敵意むき出しの報道を行っている。こうした中、政府は59のNGOに対し、ノルウェー政府の基金から助成金を受け取り、また分配しているとして監査を命じた。
これは、政治的な思惑が働いた監査である。監査に先立って首相や政府高官は、犯罪行為や財政上の不正を示す実質的な証拠がないのにもかかわらず、こうした団体を「有罪」と断じている。
監査人による申し立ての内容ははっきりしないが、警官はNGOの資金に関する犯罪疑惑で捜査を開始し、2団体の事務所と、そのうちの1つの団体の職員の家宅捜索を行い、コンピューター、サーバー、書類を押収した。1月23日、ブダ地区中央裁判所は、容疑を固めずに実施したとして、家宅捜索と押収は違法であるとの判断を下している。
また4つのNGOが、それぞれ別々の訴訟を起こされている。訴訟で税務登録を取り消され、事実上の閉鎖に追い込まれる恐れがある。
ハンガリー政府によるNGOの魔女狩りは、人権侵害、汚職、同性愛嫌悪に異を唱える者すべてに対し、恐ろしい意図を伝えている。ハンガリー当局は主体的な批判意見を封じ込めようとする魔女狩りをやめなければならない。そしてメルケル首相をはじめとするEUの首脳陣は、直ちにやめるよう求めるべきだ。
アムネスティ国際ニュース
2015年2月2日
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