- 2014年5月12日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:シリア
- トピック:地域紛争
シリア政府はダマスカスの南にあるヤルムークで、2万の市民を含む人びとを包囲し続けている。(C)unrwa.org
国連安全保障理事会は今年2月、シリアの諸勢力に即時に人道援助を受け入れ人権侵害を止めるよう求める国連決議を全会一致で議決したが、その決議を臆面もなく無視し続ける諸勢力に対し、制裁の警告を含む断固とした行動で臨むべきだ。
安保理は、国連決議の実施状況に関する潘基文国連事務総長の2度目の報告について討論することになっている。
シリア問題に関する自身の信頼を取り戻すには、安保理は全会一致の決議が尊重され、諸勢力を決議に従わせるためにさらなる手段を講じる用意があることを行動で示さなければならない。決議違反に責任のあるものに対しては、制裁を含む追加措置が取られる必要がある。
シリアでは、包囲された地域や遠隔地等に住む9百万人以上の人びとが緊急に人道的支援を必要としている。さらに、恣意的逮捕や拉致、市民への無差別な攻撃は相変わらず続いている。ほとんどは政府軍の犯行だが武装グループも無関係ではない。
2月に採択された決議第2139号によれば、安全保障理事会理事国はこの決議が遵守されない場合「さらなる手段を講じる」責任がある。
ロシアはシリアの紛争が起こって以来、中国とともに3度にわたりシリアに関する国連安保理決議に拒否権を行使したが、この先のロシアの出方が安保理の決定的行動への鍵となるであろう。
もしロシアが常に主張しているように、国連安保理の正当性と信頼性を真剣に受け止めるなら、断固とした安保理の行動を支持するべきであり、自身も賛成票を投じた決議第2139号がかくも平然と無視されるのを見過ごすべきではない。
政府軍はダマスカス南部ヤルムークの2万人の市民ほか多くの人びとへの包囲を続けている。アムネスティは、今年3月に発表したヤルムークの最新報告で、包囲が引き起こした一般市民194人の死について詳述しているが、その後さらに少なくとも60人の死亡が報告されている。
恣意的逮捕や拉致、拷問、拘禁中の死は止む気配がない。当局はまた、恣意的に逮捕された良心の囚人を含む被拘禁者を釈放するようにという決議の要求にも従っていない。最近数人が釈放されたものの、武装グループもまた市民社会活動家その他の人びとを拘禁し続けている。
アムネスティ国際ニュース
2014年4月30日
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