- 2013年11月28日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ブルガリア
- トピック:難民と移民
首都ソフィアの南東の町ハルマンリの難民キャンプ(C)NIKOLAY DOYCHINOV/AFP/Getty Images
ブルガリアでは、外国人嫌悪による移民排斥の空気がまん延し、移民は暴力を恐れながら暮らしている。当局は、ヘイトクライムの防止に向け、一層の措置を取るべきである。
今年に入って、特にシリアから入国する難民、庇護希望者、移民などの数が激増している。同時に、極右グループによる反移民の抗議行動が激しさを増している。
最近では首都ソフィアのモスク近くで、マリ人の少年が襲われたり、トルコ系ブルガリア人の男性がスキンヘッドの男たちに暴行され意識不明の重体で入院したりする事件があった。 今月も、マリ人(18歳)とシリア人(17歳)が刺されるなど、外国人への暴力が続いている。
トルコ系ブルガリア人のメニンさん(28歳)が、移民と間違えられて激しい暴行を受けた。 妻のミンカさんは、恐ろしくて今いる宿泊施設に住み続けるのはむりだ、とアムネスティに語った。「血まみれで倒れている夫を見つけた。この暴行は、先週、ブルガリア人女性がソフィアで刺され、アルジェリア人容疑者が逮捕されたことがきっかけだ」という。
ブルガリア国内ではこのように、移民に対する排外主義の空気が危険なほどに高まっている。
さらに政府首脳までもが、外国人嫌悪的な言葉を口にするようになってきている。ユフチェフ内務大臣は先月「国内に難民がいることで利益を得た国はかつてなかった」と発言した。
大統領と首相は、外国人嫌悪を非難する声明を出したが、同時に政府は難民の入国を禁止する措置をとった。
国防大臣は、ギリシャとトルコに接する南部の国境の取り締まりを強化するために「非常に厳粛な措置を講ずる」と宣言している。
こうした発言や対応が、事態をさらに悪化させている。
当局にはまん延する外国人嫌悪の空気を取り払い、ヘイトクライムを防止する責務がある。移民や難民という弱者に対する暴力事件のすべてを、即刻かつ徹底的に捜査するべきである。
政府は、庇護を求めるという正当な要求をしている多くの移民を駆逐する措置を取るのではなく、庇護希望者や難民、移民が暴力を恐れることなく安心して暮らせるよう保証すべきである。
アムネスティ国際ニュース
2013年11月12日