- 2013年11月10日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:シエラレオネ
- トピック:
情報公開法の施行には、大統領の署名が必要だ。(C) SAUL LOEB/AFP/Getty Images
シエラレオネの議会は、情報アクセス権法(情報公開法)を可決した。「この採択は、政府の透明性や法の支配、人権尊重を着実に進める上で大きな一歩となる」。アムネスティ・インターナショナル、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、シエラレオネの「情報の自由連携キャンペーン」はこのように述べた。今回の新法は、実効性、透明性のある統治、責任ある統治を行ううえで、きわめて重要である。
情報公開法は、政府の情報にアクセスする権利を定め、すべての政府機関に対し、情報公開計画を導入し機関内に広く浸透させるよう要求している。また、新法は故意に開示を妨害した者には、処罰を科すとしている。
この法案は2003年に初めてシエラレオネ議会に提出されたが、2010年以来棚上げになっていた。コロマ大統領は今こそ、施行に向けて法案に署名すべきである。
「今、シエラレオネでもっとも大切なことのひとつは、すべての人びとが情報にアクセスする権利を持つことだ」と、法案通過に向け「情報の自由連携キャンペーン」を推進してきたソサエティー・オブ・デモクラティック・イニシアティブのエマニュエル・サッファ・アブデュライ理事は話す。「政府が何をやっているかという基本的な情報にアクセスできなければ、市民は選出された政治家に責任を問うことはできない」。
長期にわたる残酷な内戦が2002年に終結し、シエラレオネは現在復興・再生のさなかにある。海外の投資家がこの資源豊かな国へ戻りつつあり、政府は国の土地を農業と鉱業の事業者に貸し付けている。そのことで影響を受けた住人の中には、詳しい情報を要求したり、土地取引に抗議したために、嫌がらせから逮捕まで、さまざまな報復を受けている人びとがいる。
情報を得る自由は、表現の自由に欠かせない要素だ。これは、世界人権宣言や市民権および政治的権利に関する国際規約、人および人民の権利に関するアフリカ憲章などの国際的な条約にうたわれている。今回の法案可決で、政府は、人権に関する国際的・地域的な義務の履行に向け、大きく前進したことになる。
シエラレオネの援助国や国際機関は、政府に対し透明性を高め、ほかの優れた統治策や法規定を取り入れるように要求してきた。同国は法案可決によって、10月31日からロンドンで開催されるインターナショナル・オープン・ガバメント・パートナーシップに参加する最低限の必要条件資格を手にした。
さらにシエラレオネは、天然資源開発における資金の流れの透明性や説明責任の向上を目指す「採取産業透明性イニシアティブ」への参加を申請している。しかし、鉱業収入と企業の支払いに関する書類が不十分であったため、申請は2月に保留され追加書類の提出待ちだ。
情報に関する同国の透明性は、誹謗法という法で損なわれてきた。これは、当局が報道関係者や市民社会組織、その他政府を批判する人びとに行使する極めて不当な法律である。10月25日、独立系の新聞社インディペンデント・オブザーバーの記者2人が逮捕され、治安妨害などの罪で起訴・留置された。コロマ大統領を非難したという理由で、保釈すら認められなかった。
情報公開法が十分かつ実効性をもって履行されれば、シエラレオネは透明性と法の支配が機能する国に変貌した国として西アフリカ諸国の規範になるだろう。
アムネスティは大統領に対し、この法案に署名し、リーダーシップと政治的意志を示すよう、強く求めていく。
アムネスティ国際ニュース
2013年10月29日
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