- 2013年11月 8日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:マレーシア
- トピック:
歴史ある村の解体に反対するデモ参加者19名が逮捕された。(C) FreeMalaysiaToday
10月31日、マレーシアで長い歴史を持つ村の解体に抗議するデモの参加者19名が逮捕された。人権擁護者に対する当局の締め付け姿勢が再び強硬になってきたことを示す事件だ。
マレーシアは8月に人権理事会に提出した報告書の中で、国内の市民的および政治的権利の進歩は、経済的、社会的および文化的権利の進展と歩調を合わせている、と宣言している。しかし、これは今のところ空約束にすぎなかった。今回のデモ参加者の逮捕から、アムネスティ・インターナショナルとマレーシアの代表的NGO、SUARAM(スアラ・ラキャト・マレーシア)は、そう読み取った。
このような恣意的な逮捕は、デモ参加者が表現と集会の自由を平和的に行使する権利を侵害し、人権擁護のために活動するすべての人びとに大きな衝撃を与えた。
被拘束者には、SUARAMの事務局長と幹事、野党議員、州議会議員、国会議員も含まれている。彼らはその後保釈され正式な起訴は保留されている。デモ参加者はマレーシアの刑法186条のもと、公務執行妨害の罪で逮捕された。この罪は、3カ月以下の刑および1000マレーシア・リンギット(約3万円)の罰金が科される。
首都クアラルンプールの南西にある歴史的な村カンプン・ハッカ・マンティンの解体に抗議してデモは行われた。村は、多目的な開発のために解体され更地にされることになっており、多くの地元住民が立ち退きを余儀なくされている。
デモ参加者の1人は、「警察は平和的に抗議する人びとに暴力を振っていた。何人かは手ひどい仕打ちをうけた」と語った。
アムネスティはマレーシア当局に対し、逮捕に際し警察が不必要かつ過剰な武力を行使した可能性に対し捜査を求めている。
デモ参加者によると、平和的に交渉しようと務めたが、警察は拒否した。控訴裁判所に中止命令を求めており、デモの時にはその決定を待っていた。にもかかわらず、当局は弾圧策を取った。ある州議会議員によると、デモ参加者が逮捕されたその日の午後2時過ぎ、控訴裁判所は解体中止命令を出した。
デモ参加者逮捕の1週間前、国連人権委員会は普遍的定期審査の一環としてマレーシアの人権状況を審査した。審査中、国連加盟国によって提起された主な懸念のひとつが、マレーシアにおける表現と集会の自由の制限であった。この国連審査結果には、国内で市民的および政治的権利がいかにないがしろにされているかが、表れている。
マレーシア当局は、約束を行動に移し、法律上・事実上ともに言論の自由の十分な保護を保障すべきである。
アムネスティ国際ニュース
2013年10月31日
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