- 2013年9月25日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:
平和的デモ参加者を攻撃するパレスチナの警官(C)ABBAS MOMANI/AFP/GettyImages
被占領ヨルダン川西岸地区において、パレスチナ自治政府の警察と治安部隊は、抗議行動参加者に対する不必要で過度の実力行使を止め、人権侵害の責任を問われなければならない。
アムネスティ・インターナショナルは9月23日、同政府の治安当局に関する報告書を発表した。その中で、警察と治安部隊が平和的に抗議する人びとに対し、いかに不当で違法な攻撃を繰り返してきたかを詳述した。また自治政府当局が暴行を働いた者たちを免責していることも非難している。
西岸地区でのデモ取り締まりの基準は、国際法が定めるものにはほど遠い。結果的に、表現と集会の自由の権利は著しく侵害されている。
2012年6月30日と7月1日に起きた事件では、警察と治安部隊が平和的デモ参加者に激しく襲いかかった。デモ参加者は予定されていたアッパス大統領とイスラエルの大臣との会合に抗議していた。少なくともデモ参加者5名が病院で治療を受けた。暴力行為に対する市民の強い反発で、大統領は独立調査委員会を設置すると発表した。内務省もまた別個の内部調査に着手した。
自治政府は、治安当局が平和的デモ参加者やジャーナリストに無用で不当な、しかも圧倒的な力を違法に行使した事実など、調査結果の概要を公表した。しかし、1年余りが経っても、報告の全容を公表していない。内務省も同様の結論に達したようだが、公表していない。
自治政府は、調査で行為の違法性が明らかになったにもかかわらず、いまだに誰ひとり起訴してはいない。責任を問わなければ、人権侵害は増長する。実際、昨年半ば以降、過度の実力行使の件数は増え続けてきた。今年7月と8月には、4回あったと言われている。
警官が、女性の抗議者とジャーナリストを威嚇するために襲撃したこともあった。
暴行され入院した女性(23歳)は、「警官に、腕をつかまれ、爪で引っかかれ、足を蹴とばされた。もうひとりの警官には警棒で頭を殴られ、地面に倒れた」とアムネスティに語った。
また今年5月8日にはヘブロン近郊の襲撃でカレダ・カワズベさん(44歳)が亡くなり、8名が負傷した。8月27日にはアムジャド・オデさん(37歳)が頭を撃たれて死亡した。この2人の死にも、治安部隊が関わっている。
自治政府は常態化した治安当局の違法行為に終止符を打ち、それを生む免責の悪循環をただちに断つことが必要だ。違法行為を働いた者を刑事訴追し責任を問うべきだ。また、すべての法執行官に人権研修を実施しなければならない。
アムネスティはまた、パレスチナ自治政府の警察や部隊の訓練を財政的に支援してきたEU、米国、その他の国に対し、国際人権法および基準に沿った行動を同政府に求めるよう要請する。
これらの国々は人権侵害を看過しないこと、また今後の援助には政府の十分な説明が必要であることをパレスチナ自治政府に明確に示す必要がある。
アムネスティ国際ニュース
2013年9月23日
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