- 2013年9月 5日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:カンボジア
- トピック:危機にある個人
ボファさんはカンボジアで強制立ち退きを受けた住民のために立ち上がり逮捕されて1年がたった。(C)LICADHO
カンボジアの人権擁護活動家ヨルム・ボファさんが昨年、間違った理由で投獄されてから1年が経った。アムネスティ・インターナショナルは、当局に対しボファさんを直ちに釈放するよう、求める。
一児の母であるヨルム・ボファ(30)さんは、地域住民の居住権擁護活動に取り組んできたが、昨年9月4日に逮捕され、12月に行われた不公正な裁判で3年の懲役刑を宣告された。彼女は良心の囚人である。彼女は無条件で即時釈放されるべきである。
カンボジアは7月28日に行われた選挙がきっかけで、緊張した政治的対立の最中にある。与党カンボジア人民党と野党カンボジア救国党の双方が勝利を主張している。政治が行き詰まっているとはいえ、ヨルム・ボファさんのことを忘れてはならない。
彼女の問題は、その地域社会の問題でもあり、国内に蔓延する不満と無関係ではない。不平等な開発、土地争い、強制退去、貧しい人びとの権利を守れず、言論の自由を抑圧する法律などだ。
ボファさんは、首都プノンペンにある地域で住民の権利を勢力的に擁護していた。その地域の土地が2007年、ある会社に賃貸されたため、数千人もの人びとが強制退去させられた。
ボファさんは中心となって進めていた、「ボン・コック13」と呼ばれる13名の女性活動家の釈放を求める運動のなかで、平和的な抗議を行ったことで昨年5月、有罪判決を受け、最高2年半の懲役刑を宣告された。
昨年8月、2名の男性の襲撃を計画したとして告訴され、12月には「より重大な状況を引き起こしかねない意図的な暴力」で有罪判決を受けた。しかし、裁判で目撃者同志が言い争うことがあったり、なかには犯罪があった時に酔っていた者がいたりするなど、目撃者の証言は一貫していなかった。
2013年6月、上訴審はこれらの問題点を明らかにできなかったにもかかわらず、一審判決を支持し、懲役刑3年のうち1年を執行猶予とする判決を下した。
ボファさんは、その後最高裁に上訴している。
なんら違法を犯した証拠がないにも関わらず出た今回の結果で、彼女が政府によって不正に標的になったと結論付けざるを得ない。
数多くの人権擁護活動家が近年、嫌がらせを受け、脅迫され、攻撃され、留置されている。彼女もその中の一人である。いずれ成立する新政府には、緊急問題として言論を抑圧するこの気がかりな風潮に歯止めをかけ、活動家が意義ある正当な活動を行えるよう保証しなければならない。
アムネスティ国際ニュース
2013年9月3日
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