- 2013年7月 3日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:朝鮮民主主義人民共和国
- トピック:
政府は「無許可で出国する者は罰する」と明言した。(C) KIM JAE-HWAN/AFP/Getty Images
悲惨な人権状況が報告されている朝鮮民主主義人民共和国政府が最近、国から脱出する人びとに対する厳罰化を明らかにした。この脅迫的声明は人びとの移動の自由を奪う新たな懸念を呼ぶ。
同国の国営通信社は6月19日に、許可なく出国しようとする人びとを国家への反逆とみなし、「卑しむべき人間のくずを物理的に排除するため実効性のある方策をとる」という人民保安部の声明を発表した。さらに声明は「あさましき人間のくずは、今後空を仰ぐことも、死後の埋葬の場所さえも見いだすことはないだろう」と続いている。
国を離れるという単に移動の自由権を行使したために、拘束や訴追あるいは処罰されることがあってはならない。
このような声明は、国から脱出を試みて捕らえられた人びとに厳罰を科す方針を継続する政府の明白な意思を示す。つまり、こうした人びとが恣意的拘禁、拷問や虐待といった危険にさらされることを意味する。命も落としかねない。
同国では国の許可を得ずに外国へ渡航することは禁止されており、最近の取り締り強化で、国境を越えて中国へ行くことや、ラオスやタイなどの第三国経由の脱出がますます難しくなっている。
中国は、無許可で入国した同国の人びとをすべて経済移民とみなし、捕らえた場合は送還している。ラオスでは、不法に入国した同国の人びとを見つけた場合、通常は拘束し、最近までは大韓民国への移動を許可していた。
今回の公式声明発表は、脱出した10代の若者9人がラオスで逮捕され強制送還された数週間後のことだった。14歳から19歳の若者たちは中国からラオスに不法入国して拘束され、5月28日に朝鮮民主義人民共和国当局に伴われて首都平壌に送還されたと伝えられる。
ラオス政府が9人の若者たちに国際的な保護を与えることなく、処罰の危険性がある故国に強制送還したことは、国際法および国際基準の違反である。
アムネスティは、9人の若者たちに危害を加えず、また人びとの国外脱出防止のためのプロパガンダに利用しないよう朝鮮民主主義人民共和国当局に強く要望する。国としての人権義務に従うべきであり、国内の移動および国外渡航許可の必要条件を撤廃すべきである。
最高指導者の金正恩が2012年1月に国境警備を強化し、脱北して捕らえられた人びとを厳罰で脅迫したと報じられている。
韓国政府によれば、脱北して韓国に逃れた人数は、2011年は2706人だったのに対し、昨年は1509人だったという。
アムネスティ国際ニュース
2013年6月21日
関連ニュースリリース
- 2016年12月16日 [国際事務局発表ニュース]
朝鮮民主主義人民共和国:政治囚収容所は今も変わらず - 2016年3月 9日 [国際事務局発表ニュース]
朝鮮民主主義人民共和国:国外との通話規制強化で苦境に立つ家族 - 2014年11月20日 [国際事務局発表ニュース]
朝鮮民主主義人民共和国:国連決議は人道に対する罪を裁く重要な一歩 - 2014年4月 1日 [国際事務局発表ニュース]
朝鮮民主主義人民共和国:国連決議は人道の罪を終わらせる第一歩 - 2014年2月18日 [国際事務局発表ニュース]
朝鮮民主主義人民共和国:国連安全保障理事会は「人道に対する罪」を看過してはならない