- 2013年5月16日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:エルサルバドル
- トピック:性と生殖の権利
エルサルバドルではいかなる中絶も禁じられている。(C) KAREN BLEIER/AFP/Getty Images
エルサルバドルはどんな場合でも中絶を禁じており、母親の命に関わるときでも中絶は違法とされている。
ベアトリスさん(22歳)は現在妊娠5カ月。全身性エリテマトーデスや腎臓障害など種々の重い病を患っている。
医師らは妊娠の状態が続けば、命を落とすかもしれないという。しかし必要な治療を施せない。違法な中絶を助けたとして起訴されかねないからだ。
最高裁は本件の対応を検討中だが、ベアトリスの病状は悪化するばかりだ。
弁護人の1人、デニス・ムニョスさんが、ベアトリスさんの近況を語ってくれた。
―彼女の状況は?
妊娠22週目に入った。最高裁は法医学研究所の診断にもとづいて決定を下すが、その手続きは依然としてもたついている。彼女が入院している間、2時間離れたところに住む夫と子どもとは、離れ離れの生活を送っている。
―病状は?
全身性エリテマトーデス、高血圧、また肝臓に障害があり事態は深刻だ。国は、やれることはすべてやっているというが、中絶を認める手続きを先延ばししているだけだ。司法は機能していない。
―当局に望むことは?
国立産科病院の医師らが妊娠13週(現在は22週)のときに薦めた手術を、当局が認めることだ。
―今回の事例は、この国ではよくあることか?
貧しい女性ではよくある。長年、必要なヘルスケアを受けられない多くの女性が同様の問題を抱えてきた。妊娠に気づかずに中絶した女性も投獄されてきた。いかなる中絶も女性に罪があるとしている。ジェンダーへの配慮などまったくない。
―こうした有罪の判決は見せしめか?
その通りだ。まるで魔女狩りだ。当局はこうした女性を見せしめにしようとしている。
―エルサルバドルで性と生殖に関する権利の活動は難しいか?
私たちの仕事は大変難しい。保守的グループや同僚に「中絶弁護士」と呼ばれている。しかし、こうした女性を有罪だとは思わない。彼女らを知っているし、信じている。
―今後、彼女のために望むことは?
この事態が一刻も早く解決することだ。彼女には死んでほしくない。当たり前のことだ。日に日に容態は悪化している。彼女は、ただ生きたい、家族と共に暮らしたいだけなのだ。
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