- 2013年5月13日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:米国
- トピック:死刑廃止
メリーランド州は死刑を廃止した18番目の州になった。(C)Aimee Castanell
メリーランド州マーチン・オマリー知事が5月2日、死刑廃止法に署名した。これにより同州は世界的な死刑廃止の大きな潮流に乗った。
2013年3月に州議会を通過したこの死刑廃止法により、メリーランド州は、連邦最高裁が1976年に死刑制度を復活させて以来、全米18番目の死刑廃止州となった。
死刑制度は、人間の尊厳を尊重する社会では受け入れられるものではない。また、米国の死刑判決は、差別と冤罪の温床だ。メリーランド州は、このような死刑制度の廃止を決めた。全米の3分の1以上の州が死刑を廃止している今、残りの32州および連邦政府もそれに続くべきである。
アムネスティはオマリー知事に、5月2日の死刑廃止法案署名後も死刑囚監房に残されている5名の死刑囚の減刑を行うよう求めた。減刑により、死刑廃止という正しい判断に従って、この残虐な刑罰の適用を回避することができる。
メリーランド州の死刑廃止は、世界的な死刑廃止の流れに沿うものである。アムネスティの直近の年度統計によれば、残念ながら一部の国で死刑復活はあったものの、2012年も全世界的な死刑廃止の傾向が続いた。
この傾向は米国でも同様で、過去5年間で死刑廃止法を制定した州は、ニューメキシコ(2009年廃止)、イリノイ(2011年廃止)、コネチカット(2012年廃止)、そして今回のメリーランドの4州である。
また、ニュージャージー州が法的に死刑を廃止した2007年には、隣のニューヨーク州で、死刑は州憲法に違反するという2004年の判決を受け、同州最後の死刑囚の減刑を行った。
一方、1994年以来、全米で執行された1,000件以上の死刑のうち、4分の3近くがテキサス、オクラホマ、バージニア、ミズーリ、オハイオ、アラバマ、フロリダの7州で行われている。連邦最高裁が死刑復活を決めた1976年以来、テキサス州だけで全米死刑執行数の37%を占め、現在まで500件近い死刑が執行されている。
【参考資料】
メリーランド州知事は、今年1月に死刑廃止案を議会に提出した際、「死刑に犯罪抑止力はなく、死刑は人の命を奪うだけだ」と述べた。世界を見渡すと、死刑廃止国は「存置国よりもはるかに増え続けている」ことに気づいたと同氏は言う。
これはまさに、アムネスティが36年前に死刑廃止キャンペーンを始めた時から、一貫して主張してきたことである。死刑が犯罪抑止力となることを示す有力な証拠はない。
アムネスティは、犯罪の性質や状況、有罪・無罪、個人の特質、執行手段などにかかわりなく、すべての死刑に例外なく反対する。死刑は、生きる権利の侵害であり、最も残虐で、非人道的で、恥ずべき刑罰である。
世界の3分の2を越える140カ国が、法律上、または実質的に、死刑を廃止している。昨年、少なくとも682件の死刑が21カ国で執行された。58カ国で、少なくとも1,722件の死刑判決が下されたことが確認されているが、一昨年は63カ国、1,923件であった。
死刑に関する世界統計については、アムネスティ報告書「2012年の死刑判決と死刑執行」をご覧下さい。
アムネスティ国際ニュース
2013年5月2日
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