- 2013年3月14日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:コロンビア
- トピック:
不可解な死を遂げたコロンビアの人権活動家 アンヘリカ・ベロさん
何年もの間、コロンビアの人権活動家、アンヘリカ・ベロさん(45歳)が一人で過ごすことはまれだった。一人でいることは、あまりにも危険だったからだ。
彼女は、コロンビアで長引く武力紛争の中で性的暴力を受けた人たちを支援する活動をしていた。その仕事の影響で、度重なる脅迫を受けていた。そのため、危険すぎて一人では外出もできなかった。
2000年、娘2人が誘拐され、民兵組織によって性的奴隷の扱いを受けた。ベロさんは自分で交渉し、2人を奪回でした。
2009年11月には、彼女自身も性的暴力を受けた。民兵組織による報復だという。
2010年の始め、相次ぐ脅迫と暴行に不安を抑さえられなくなり、現地の人権機関である米州人権委員会に救いを求めた。
今年1月初旬、彼女は、紛争中の性的暴行を受けた人たちを代表してサントス大統領との会議に出席した。
他の問題においても、彼女は、性的暴力などの被害者への精神的支援に向けて迅速な調整を行うように、大統領に要請した。
2月16日、自宅で亡くなっているのが見つかった。ボディーガードの銃で自殺を図ったという。人権団体らが、ベロさんが本当に自殺を図ったのか疑問視した。当局はこの事件を捜査しているという。
「連中は『人に話すな』と警告した」
ベロさんはコロンビアでよく知られた人物だった。2006年、「女性の人権擁護のための全国財団」を創設していた。多くの性的暴力の被害女性を守るために働いた。
「コロンビアで女性の人権活動家になることは、イラクでカミカゼ特攻隊員になるようなものです」。2011年にアムネスティにそう話していた。
2009年に自身が受けた性的暴力を回想して、「とても怖かった。男たちに殴られ、『人に言うな』と警告された。連中は、『またすぐに会うぞ。自分らの顔をよく見ておけ』と言っていた」と、語ってくれた。
勇気ある女性人権活動家が、性的暴力を受けてきた何千人もの女性たちの人権のために働いている。その人権活動家も虐待され、脅迫され、殺されている。
不十分な保護
他の人権活動家と同じように、ベロさんも国の防護策を受けていたが、絶え間ない恐怖の中にいると言っていた。脅迫と嫌がらせは続いた。民兵らによる脅迫状もあった。
当局に対しアムネスティは、ベロさんの事件に迅速で公正な捜査を進め、死の真相を明らかにし、人権活動家が安心して仕事を続けられるように手を打つことを、強く要請する。
また、被害者である女性人権活動家が、専門家による精神的ケアなど、性差を考慮した支援で守られるように、当局は断固たる行動を取らなければならない。
アムネスティ国際ニュース
2013年2月26日
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