- 2013年2月25日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:パキスタン
- トピック:先住民族/少数民族
犯人を取り締まらない限り犠牲者の遺体は埋葬しないと抗議する女性や子供たち © Banaras Khan/AFP/Getty Images
クエッタで激しい襲撃があり、多数が死亡した。パキスタン当局は迫害されているシーア派の少数民族ハザラの人びとを守るために取り組みを強化すべきだ。
2月17日(日)、バロチスタン州の州都クエッタの野菜市場で爆弾が爆発し、少なくとも84人が死亡した。死者の大半は、シーア派のハザラ人だった。
反シーア派の武装組織ラシュカレジャングビが、犯行声明を出した。同組織は、今年1月10日、クエッタ市内でハザラ人を標的として90人以上の人命を奪った連続爆弾事件への関与も認めている。
これらの一連の攻撃は、ラシュカレジャングビが人権と人道の基本原則をことごとく無視していることの表れである。
衝撃を覚えるのは、殺害に加担した者や煽った者らを法で裁かない当局の、継続的な機能不全だ。アムネスティが把握しているかぎり、今年1月の爆撃事件、あるいはここ数年のハザラ人を標的にした殺人事件では誰も罪に問われていない。また、ラシュカレジャングビのような組織の有力指導者を含め、信仰に基づいて他者への攻撃を煽動した者を起訴したことがほとんどない。
こうした犯罪者を法で裁かないことは、凶悪な人権侵害を今後も続けてよい、罪にも問わない、と言っているのと同じだ。
アムネスティは、2012年1月以降パキスタン全土でシーア派を標的にした攻撃事件91件をそれぞれ確認している。その死者はおよそ500人。ハザラ人はパキスタンで最も少ない少数民族の一つだが、そのハザラ人の死亡者は全体死亡者の半数以上と突出している。
この2カ月間は、迫害を受けているクエッタのハザラ人にとって過去最悪となった。1月と2月の攻撃は実際、近年のパキスタン史上最悪の殺害事件の一つになっている。
アムネスティはパキスタン当局に対し、これらの攻撃を止めさせるために、行政および軍当局の続く失策に関して、公正で独立した調査をただちに行うよう求める。
治安当局は、クエッタのハザラ民族社会やその人びとの保護を怠った責任を問われなければならない。
アムネスティ国際ニュース
2013年2月18日
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