- 2013年2月 1日
- [その他]
- 国・地域:イスラエル/被占領パレスチナ地域/パレスチナ
- トピック:
もしイスラエル政府が軽率な対応を取れば、すべての人びとにとって重要でグローバルな人権プロセスを台なしにしてしまう。
国家の人権状況を検証するプロセスである普遍的定期審査は、現在まで文字通り普遍的であった。すべての国連加盟国は2011年末までに審査され、第2期審査が既に開始されている。
しかし、今もイスラエル政府はこのプロセスに参加していない。普遍的定期審査による検証が予定されている本日午後になっても、イスラエルは出席していない模様だ。193加盟国の中で唯一の反対国イスラエルが故意に欠席すると、普遍性の原則が損なわれる。結果として普遍的定期審査は、すべての国に公平に適用することで得られる絶対的な合法性を失うことになる。
イスラエルの非協力な対応で、このプロセスが普遍性を損なうことが明らかになるなら、自国の人権状況の検証を免れたい、もしくはその準備が極めて困難な国家がどうしてこのプロセスに従うだろうか。
イスラエルは多くの国々や機関とともに、人権委員会は偏向しており二重基準で運営されていると懸念を表明したのは、それほど以前ではない。人権委員会は廃止され、2006年に人権理事会が設立された。その結果、普遍的定期審査という大きな改善を生んだ。ようやくすべての国家に一貫して適用されるプロセスが用意され、第1期審査はうまくいった。
イスラエルが抗議した偏向を是正するために設計されたしくみを今、イスラエルが台なしにしているのは皮肉である。
人権理事会は2012年3月にイスラエル人入植地についての事実調査団を結成し、イスラエルをやり玉に挙げた、と同国政府は苦情を申し立て、そして理事会への協力を取り下げることとなった。イスラエルは既に、2009年のガザ紛争事実調査団のようないくつかの重要なメカニズムへの協力を拒んでいる。しかし、これらのステップは普遍的定期審査とは関わりのないことだ。
アムネスティ・インターナショナルは、イスラエルが人権理事会の規則に則り、2013年中に普遍的定期審査に参加するよう促す世界規模での合意を訴える。イスラエルの高官レベルでの参加がなければ、このメカニズムの効果は減殺される。イスラエルと最も友好的な国々でさえも、このような振る舞いを擁護することは困難だろう。人権理事会の議定書によれは、普遍的定期審査への協力を拒み続ける国家については適切な措置が講じられることとなっている。
世界中の国々にとって、普遍的定期審査は人権基準と自国の実施状況の間のギャップを埋めることに貢献してきた、という証拠がある。
もし普遍的定期審査が危うくなれば、世界規模での人権プロジェクトにとって重大な損失となる。イスラエルは2013年中に普遍的定期審査による必要な検証に、要請通りにしっかりと取り組まなければ、世界の人権侵害の犠牲者たちから賛辞を得られないであろう。
ピーター・スプリンター(アムネスティ・インターナショナル国連代表)
アムネスティ国際ニュース
2013年1月29日
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